県議会質問

2016年9月26日

大人の発達障がいにかかわる支援ならびに高等技術専門校における相談受付体制について

 民進党県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従い、政務活動に基づき、一般質問を行います。まず初めの項は、大人の発達障害に係わる支援についてです。

 この10数年、発達障害児・者の支援については様々な法施行もあり、教育の分野、労働福祉の分野で様々な支援が行われるようになりました。また、保健・医療分野では発達障害に対する診断ならびに治療が進むなど、発達障害の問題については社会全体で対策を講じていかなければならないという合意形成が図られてきました。

 福岡県議会におけるこの6年間の議事録を紐解きましたが、本議会や常任委員会において、度々、発達障害児・者に係わる質疑応答が行われています。

 そのなかで、2011年の「9月定例会」では、我が会派の守谷正人議員が、「本県の発達障害に対する理解の普及や意識啓発の推進について」知事を質したところ、知事は「発達障害をより多くの皆さんに理解して頂くため、広く県民の皆様を対象に講演会を開催するとともに、発達障害の特性ある方にはいろんな相談窓口を設けるとともに、判りやすいパンフレットの配布を行っている。」と答弁されています。

 そこで、このときの答弁を踏まえ、知事に1点目の質問です。
 この間、本県における発達障害に係わる県民の理解促進にむけ、どのような取り組みを行ってこられたのかお聞きするとともに、県民の理解がどの程度進んだとお考えか、知事の認識をお聞かせください。

【小川知事答弁】

  • 広く県民の皆さんを対象とした取組みとしては、発達障害への理解を深めていただけるよう、会場とテーマを変えて、毎年講演会を開催している。
  • また、25年度には、5年前に配布したパンフレットを改訂し、発達障害の特性をよりわかりやすく記載するとともに、市町村ごとの相談窓口を明記するなど、内容を充実させ、配布した。
  • 26年度には、県医師会と県内医療機関の協力を得て、発達障害の診断及び発達支援の提供を行っている県内66の医療機関名及びそれぞれの実施内容のリストを作成し、県のホームページに掲載したところである。
  • さらに、27年度から、県内2か所の発達障害者支援センターが主体となり、発達障害のある人に接する機会の多い学校、保育所、幼稚園、行政機関等の職員及び保護者を対象とした研修会を充実強化している。
  • こうした取組みにより、発達障害に対する県民の理解は、広まってきているものと考えている。

 発達障害の特性を持つ子どもたちについては、乳幼児期から発達段階に応じた一貫した支援を行っていくことが重要であり、そのため早期発見・早期支援の必要性があるといわれています。
 『発達障害者支援法』第5条では、『母子保健法』に基づく「乳幼児健康診査」と『学校保健安全法』に基づく「就学時健康診断」が規定づけられ、これにより、「乳幼児健診」や「就学前検診」において、発達障害の診断と発見が行われるようになりました。

 しかし、反面、診断は早期であるほど不確実性が高く、乳幼児期では発達障害の可能性はあるが確定診断がつきにくい子どもの割合も多く、保健師や保育の担当者等が発達障害の可能性に気づいても、適切に判断することが難しい場合もあります。また、年少であればあるほど、保護者にとっては、障害の受容が困難など、その障害特性に起因する課題も多くあります。

 そのため、発達障害と診断されず、また、発達障害の特性をもつものの、義務教育期を終え、高等学校や大学に進学し、更に社会に出ていく成人の方々も多くいらっしゃいます。

 発達障害が社会的に認知され、対策が講じられるようになったのはここ10年来のことであり、障害に気付かずに大人になった方も多くいらっしゃると思います。また、うつ病など、他の精神疾患で治療を受けた際、発達障害を指摘されるケースもあると聞きます。

 そもそも、発達障害は先天的な特性であり、成人になって発症することはないとされています。大人の発達障害とは、大人になるまで「発達障害」に気付かず、大人になってから診断を受けたり、自覚したりするケースのことを言います。

 義務教育期、更には高校・大学といった学生時代、家族や本人も発達障害であるという自覚や認識を持たず、その子の個性や特性ととらえたり、集団活動や授業など苦手なことがあったとしても、なんとか自分なりの方法や、家庭や学校など周りのサポートもあり乗り越えられたものの、社会に出ると、学生時代のようにうまくいかない場合が多く出てきます。

 就職したものの、職場では、「場の雰囲気が読めない」、「話が伝わりづらい」、といったことに加え、「仕事を休みがちになる」、「同時並行作業力が弱い」、「創造が苦手なため、新しい環境や物事を怖がって適応しにくい」、「聴覚のワーキングメモリーが弱く、耳から聞き取った情報が抜け落ちやすい」、「物事がどう進んでいるのかを理解していないため、段取りができない」といった特性が現れ、仕事がしづらい、仕事ができないといった事象に直面します。

 そして、こうしたことが続くと、「どうせ自分は何をやってもダメなんだ」とか、「自分は社会から必要とされていない」とか、自分を追い込んだり、自虐的になったり、その結果、引きこもりになるというケースもあり、いわゆる「二次障害」を引き起こしかねません。

 これは、本人や家族にとっていたたまれない状況であり、重ねて、就労人口や納税者の減少を来たすなど、社会にとっても大きな損失となります。したがって、大人の発達障害についての対策は、今後、ますます重要性を増してくるものと思います。

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