県議会質問

大人の発達障がいにかかわる支援ならびに高等技術専門校における相談受付体制について

 また、併せて、NPO法人「発達障害を持つ大人の会」が発達障害者への対処法の工夫を載せた「発達障害凸凹(デコボコ)活用マニュアル」というのを作成していますが、発達障害の特性を職場で理解してもらうため、県として、こうしたパンフレットを企業などに配布すべきだと考えますが、知事のお考えをお示しください。

 さらに、県内の事業者に対し、大人のための発達障害対策、発達障害者への理解を深めるための啓発や講習会などを県主催で実施すべきと考えますが、この点についての知事のお考えも併せてお示しください。

 次に、本県の高等技術専門校における発達障害者支援体制についてです。

 「職業能力開発総合大学校能力開発研究センター」が公表している『発達障害のある人の職業訓練ハンドブック』にもあるとおり、就職したとしても、職場で十分に理解されないために苦しんだり、発達障害の診断を受けるまでに何度も離職経験を持つ人が多く、就業に対して自信を失ったり、離職後に引きこもりやうつの症状等の「二次障害」を訴える人も少なくないことが指摘されています。

 訓練生の中には、いままでいろんな職に就いたけど、仕事が覚えられない、仕事ができない、自分に合った仕事に出会えないなどの理由で、なかなか定着できず、職を次々と変わったという方もおられ、最終的に高等技術専門校で技術を身に着け、いわゆる手に職を付けようと入校される方々もおられますが、これらの方々の中にも、先ほども述べたような発達障害の特性を持つ訓練生もおられるのではないかと考えます。

 自らの発達障害特性に気づかず、高等技術専門校に入校するものの、訓練についていけない、回りとなじめないなど、これまでの職場と同じような体験をされる方もおられるのではないかと思います。

 職業訓練の場においても、本人の特性によっては、専門の相談窓口を紹介することで適切な対応を受けられ、「二次障害」を防げるのではないかと思います。

 そこで、必要になるのが職業訓練校でのカウンセリング及びケースワークの必要性です。
 ILO第159号条約「障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」は、「身体的または精神的障害の結果として、適当な職業に就き、それを継続し、それにおいて向上する見込みが相当に減少している者のために適切な職業リハビリテーションの対策を講じ、雇用機会の増進に努めるもの」とするものであり、日本も1992年6月12日に批准しています。

 こうした理念に基づき、現在、本県の「障害者職業能力開発校」でも障害に応じた就職支援や職業相談が行われていますが、発達障害者もしくはその可能性のある訓練生の今後の就労保障を図るためにも、本県の高等技術専門校でも訓練や生活に関する相談受付を実施すべきと考えます。

 そして、その中で、相談者によっては発達障害に係わる専門の医療機関への受診をうながすといったことをやるべきではないかと思いますが、知事の考えをお示しください。
A

【小川知事答弁】

  • 発達障害については、本人や保護者に自覚がない、あるいは自覚があっても学校への報告をためらうといったケースが多く、正確な数の把握は困難な現状にある。
  • 一方で、学校現場からは、集中力がなく作業が継続できない、指示や指導をなかなか理解できない、周囲とのコミュニケーションがとれない等の発達障害の可能性のある訓練生が在籍しているとの報告を受けている。
  • これらの訓練生に対しては、訓練時間外での指導を行う、作業手順を一つひとつ丁寧に説明するなど、指導員がきめ細かく対応しているところである。
    • また、訓練生全員に対して、労働安全衛生の取組みとして、メンタルヘルスに関する講話やビデオ視聴による研修を行っている。さらに、入校時の説明会やホームルームの際には、訓練や生活全般に関する悩みごとがある場合、気軽に相談するよう呼びかけている。
  • 訓練生から相談を受けた際には、本人の意向を尊重しながら、必要に応じて、医療機関や発達障害者支援センター、精神保健福祉センターといった医療・福祉の支援機関に関する情報を提供するなど、適切に対応していく。

kokorozashi_chosen_button.png

ブログ原中_ボタン20160705.png
動画メッセージ_ボタン20160705.png