県議会質問

合法木材の利用促進、県産材の需要拡大など本県の林業振興について

 民進党・県政クラブ県議団の原中誠志です。発言通告に従い、「本県の林業振興について」質問します。
 なお、今回の質問にあたり、政務活動として奈良県を視察しましたので、その視察も踏まえ、以下4点にわたり質問致します。

 まず1点目は、県産材の供給についてです。
 本県の森林については、県士面積498,640haに占める森林面積の率は45%で、222,123haとなっています。

 このうち、計画対象となる民有林面積は194,510ha、うち人工林面積は127,997haで、本県の森林面積に占める人工林面積率は66%となっています。

 この民有林のうち、人工林の資源構成でみますと、広葉樹は3,769haに対し、スギ、ヒノキ、マツといった針葉樹は124,227haで、全体の97%を占め、これらの森林資源が今後の本県林業の主要な資源となります。

 このような中、林野庁は「我が国の人工林資源は本格的な利用期を迎えており、資源面では、国産材には十分な供給余力がある」と指摘しています。

 しかしながら、我が国の林業・木材産業は、小規模な森林所有者が多数を占め、また、生産・流通・加工の各段階が小規模・分散・多段階となっており、需要に応じた効率的・安定的な供給体制の構築が課題としています。

 また、近年、住宅メーカーや工務店などからは、品質・性能の確かな木材製品の安定供給が求められているものの、こうした木材製品について製材業等の供給体制は十分とはいえないと指摘しています。

 林野庁「2014年木材需給に関するデータ」によると、国内の木材の総需要量のうち、燃料用チップの数量を除くと、総需要量は7,410万3千立方メートル木材自給率は29.8%となっており、依然、輸入木材量は国内の木材総需要量の7割以上を占めており、また、その約9割は製品での輸入となっています。

 このため、国産材の国内供給量を増加させることが我が国として課題となっており、同様に、本県林業の課題ともいえます。

 そこで、県産材の供給力強化について質問します。
 先ほど申し上げました本県林業の主要な資源となるスギやヒノキの人工林のうち、7割以上が利用期を迎えており、県では、主伐の推進に取り組んでいると聞いていますが、主伐の推進にこれまでどのように取り組まれ、その結果、県内の原木生産量はどのように推移したのかお尋ねします。

 また、今後も、主伐を推進し、供給力を強化させる必要があると考えるが、どのように取り組まれていくのかあわせてお答えください。

【小川知事答弁】

  • 本県では、利用期を迎えた森林資源を有効活用することが重要な課題となっているため、一昨年度から、主伐による県産材の供給力強化に取り組んでいるところである。
    • 具体的には、林業・木材産業関係者からなる協議会を設立し、流通ルートを確保するとともに、事業者に対し搬出経費等の一部を助成しているところである。
  • この結果、事業者の主伐に対する意欲が向上し、平成27年の原木生産量は、事業開始前の25年から2割増加し、19万5千立方メートルとなったところである。
    • また、製材工場が求める均質な木材の供給が図られ、27年の県内製材工場の需要に占める県産材シェアは、25年から16ポイント増加し、39パーセントに達したところである。
  • さらに、今年度から新たに、事業者の主伐に対する意欲の一層の向上を図るため、主伐後の再造林への支援を強化している。
    • 具体的には、事業者が主伐後に行う花粉の少ない苗木の植栽や、シカ被害の防止対策に係る経費を助成し、その負担軽減を図っている。
  • 県としては、このような取組みを通じ、今後とも、主伐を積極的に進め、県産材の供給力を強化していく。

2点目は、林業経営についてです。
 なお、本県内の林業経営に係る事業体ごとの収支資料がありませんでしたので、林野庁が示した我が国の林業経営の状況調査に基づき話を進めます。 

 それによると、家族経営の林業経営体のうち、山林を20ha以上保有し施業を一定程度以上行っている経営体における1経営体当たりの年間の林業粗収益は、2008(平成20)年度の178万円から、2013(平成25)年度は、248万円と増加しています。

 しかしながら、施業請負わせ料金や雇用労賃等の林業経営費は、2013(平成25)年度が237万円で、林業粗収益から林業経営費を差し引いた林業所得は11万円で、2008(平成20)年度に比べて1万円の増にとどまっています。

 また、「2010年世界農林業センサス」によると、過去1年間に保有山林で自ら素材生産を実施した林業経営体の数は全体の9%である12,917経営体であり、大多数の林業経営体にとって、林業生産による収入は間断的なものに留まっています。

 更に、「2005年農林業センサス」によると、家族経営の林業経営体で、林業収入が最大となっているものは、全体の僅か1.7%にとどまり、林業以外で生計を立てている林業経営体が大半となっています。

 このように林業経営が非常に厳しい中、県では、主伐を推進することにより、林業経営体の収入確保を図っています。

 一方、スギやヒノキが生長する段階で間引きを行う間伐では、県の白書を見てみますと、2015(平成27)年度では間伐を実施した面積のうち、約26%しか搬出されていない状況にあり、ほとんどは切捨て間伐、林地残材となっています。

 これまで、間伐のほとんどは保育間伐のため、このような数値になっていると思いますが、今後は、木材の成長に合わせ、間伐材も利用を進め、少しでも収益を確保することが必要と考えます。

 そこで質問です。
 県が主伐や間伐の利用を進めたとしても、林業経営そのものが成り立たなければ、充実した森林資源の循環利用を継続することは出来ないと考えます。

 このため、林業を担う森林組合などの林業事業体の収益の確保はもちろんのこと、森林所有者への収益の還元も必要であります。 

 そのためには、間伐材の搬出経費も含めて、木材の生産コストの低減が必要であると考えますが、県では、効率的な木材生産にどのように取り組まれているのかお答えください。
A

【小川知事答弁】

  • 生産コストの低減は、林業事業体や森林所有者の収益を確保するうえでも、また、県産材の安定供給を図るうえでも、重要である。
  • このため、森林作業の集約化を図り、生産基盤となる路網(林道・作業道)の整備や高性能林業機械の導入を計画的に進め、平成27年度には5年前より、路網の延長が2割増加し、導入された機械の台数は6割増加した。
    • この結果、スギの木材価格が低下する中でも、原木生産量は4割増加している。
    • 今後とも、このような取組みにより、木材生産の低コスト化を進め、県産材の安定供給を図ってまいる。

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