県議会質問

質問日:2017年3月16日(木)

保健費:「福岡県地域医療構想に係る歯科口腔衛生の関りについて」、「民泊問題について」

 民進党・県政クラブ県議団の原中誠志であります。
 発言通告に従い、本県が策定する「福岡県地域医療構想に係る歯科口腔衛生の関りについて」と「民泊問題について」質問します。

 最初の項は、「福岡県地域医療構想に係る歯科口腔衛生の関りについて」です。

―問1
 はじめに、本県が策定する「地域医療構想」について、その背景と目的はどのようなものか、改めてお示しください。

【医療指導課長答弁】
 団塊の世代の方々が全て75歳以上となる平成37年に向け、高齢化の進展に伴い、医療・介護の需要が益々増大していく。
 また、高齢化の進展に伴い、誤嚥性肺炎、転倒に伴う骨折、脳血管疾患といった高齢者特有の疾患が増加するなど、疾病構造も大きく変化していく。
 一方で、高齢化の進展の度合い(スピード)は、地域ごとに異なると見込まれる。
 地域医療構想は、構想区域(県内13の二次医療圏)ごと、病床の機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとに、平成37年(2025年)の必要病床数を推計し、将来の人口構成の変化と疾病構造の変化を地域ごとに踏まえた将来の病床機能の在り方を示すもの。
 そして、病床機能報告による現状の病床数と比較を行い、それぞれの病床の機能に見合う病床数を確保していくため、病床転換を推進していくものである。


 ご説明を頂きましたが、もとは2014年に制定された『医療介護総合確保推進法』に基づき、都道府県ごとに「地域医療構想」を策定するようになったものと承知しています。
 このようななか、「全国医系市長会」は本年2月9日、政府に対して「新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する要望書」を提出するなど、「新専門医制度」の導入に疑問を呈しています。

―問2
 そこでお聞きします。現在、「新専門医制度」が検討されていますが、これは「地域医療構想」とどのような関りとなるのか、お聞かせください。

【医療指導課長答弁】
 「新専門医制度」は、専門医の質の向上を図るため、これまで内科、外科などの学会がそれぞれ行っていた専門医の認定を、新制度では中立的な第三者機関である日本専門医機構が、専門医の認定と専門医養成プログラムの認証を統一的に行うものである。
 一方、「地域医療構想」は、地域ごと、病床の機能ごとに将来必要となる病床数を確保するため、病床の機能転換を推進していくものであり、専門医の質の向上を図る「新専門医制度」とは目的が異なり、直接的に関わるものではない。
 なお、「新専門医制度」については、研修医や指導医が都市部の大規模病院に集中し、医師の地域偏在を助長するのではないかという懸念が、医療関係団体や全国知事会等から示されたため、現在、その改善に向けた検討がなされている。


 さて、そもそも、「地域医療構想」は、先ほどもありましたが、2025年、来るべき超高齢社会をにらみ、あるべき医療提供体制の実現に向け、「地域医療構想」を策定する際には、精神、感染症等に係る入院医療や外来医療、在宅医療、歯科医療、薬局など、全体を見据えた上で、五疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病及び精神疾患)、五事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医 療及び小児救急医療を含む小児医療)等の医療計画において既に記載されている内容も踏まえて検討するとなっています。

 このような主旨からすれば、「地域医療構想」は病床転換をいかに図るかということはもちろんのこと、地域の医療介護を総合的に確保育成するための構想でなければならないと思います。したがって、「地域医療構想」には、医科に加え、歯科医療も当然含まれると考えます。

―問3
 そうした観点から、お聞きします。
 「地域医療構想」には、歯科口腔保健の取り組みをどのように認識し、位置づけしているのか、お示しください。

【医療指導課長答弁】
 地域医療構想は、地域ごと、病床の機能ごとに将来必要となる病床数を確保するため、病床の機能転換を推進していくものであり、歯科口腔保健の取組みそのものに焦点を当てるものではないが、一部、医科・歯科連携の推進や訪問歯科診療について記載を行っているところである。
 具体的には、
「既存の医療資源の機能が十分発揮できるよう、医療機関間の連携や 医科・歯科の連携を一層進めていく必要がある」こと
「県歯科医師会等関係団体と連携して在宅医療をはじめ将来のあるべき医療提供体制を支える歯科医師・歯科衛生士の確保・養成を図っていく」こと
「かかりつけ医・歯科医師・薬剤師・看護職員に対する認知症対応力向上研修を開催し、早期診断・早期対応の体制整備を推進していく」こと
としているほか、
「在宅医療、誤嚥性肺炎、認知症に関しては、「口腔ケア」をしっかり推進していくことが重要」という区域の調整会議で出された関係者の意見 
などについても記載したところである。


 現在、日本人の2人に1人はがんにかかる時代です。がん治療では、化学療法や放射線療法により患者の免疫力が低下し、口内炎や歯肉の炎症などが発生しやすくなります。

 一方、外科手術前の口腔ケアは、肺炎をはじめとする術後合併症の予防効果があることが知られています。

 このように、がん患者が適切な治療を受けるためには、医科と歯科の連係が重要であります。

-問4
 そこで医療と歯科口腔保健との連携についてお聞きします。
 県内には、19ヵ所のがん診療連携拠点病院があると聞いていますが、拠点病院と拠点病院以外の病院での医科歯科連携の推進のため、県がどのように取り組んでいるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。

【健康増進課長答弁】
 県内19か所のがん診療連携拠点病院等のうち、現在歯科専門職が配置されている 15か所の拠点病院においては、術前術後のがん患者の方への口腔ケアや退院時の地域歯科診療所との連携が行われている。歯科専門職が配置されていない4か所の拠点病院に対しては、配置にむけ、病院に働きかけを行っているところである。
 また、県では、拠点病院以外の病院での医科歯科連携を図るため、県歯科医師会に専任の職員を配置し、医科や歯科の関係者を対象として、がん患者の口腔ケアの必要性に関する研修会を行っている。
がん患者の方に対しましても、口腔ケアの必要性を啓発するパンフレットを作成し、病院において配布している。
 今後も、地域の医科歯科連携の充実を図るため、歯科専門職が配置されていない拠点病院に配置を働きかけるとともに、拠点病院以外の病院に対しても、医科歯科連携の必要性を理解していただくよう取り組んでまいる。


 県では、がん患者等の医科歯科連携の効果的な促進を図るため、歯科医師、歯科衛生士等歯科医療や歯科保健に係る多職種が、がん拠点病院等と患者情報を共有する「地域歯科医療ネットワークシステム」、いわゆる「福岡県うぐいすネット」の構築を支援していると聞いています。

―問5
 そこでお聞きします。
 「福岡県うぐいすネット」について、今回の「地域医療構想」の中に盛り込まれているのか、お聞きします。

【健康増進課長答弁】
 県として、医科歯科連携の推進を図る取組の一例として「がん患者等医科歯科連携整備事業」を実施している。このなかの具体的な事業内容の中に、ご指摘の「地域歯科医療ネットワークシステム」、いわゆる「福岡県うぐいすネット」があり、事業実施している。


 2014年の診療報酬改定では、在宅歯科医療、在宅療養、医科医療機関との連携等を行っている歯科診療所を評価するなど、歯科の訪問診療に対して重点的に配分され、今後もこの傾向は続くといわれています。

 「中央社会保険医療協議会」、いわゆる「中医協」の2014年の特別調査でも、「歯科訪問診療患者総数」、「歯科訪問診療料」、「歯科疾患在宅療養管理料」、「口腔機能管理加算」、「訪問歯科衛生指導料」の算定も患者数も増加しています。

 このように、医療機関と歯科医との連携が進み、歯科の訪問診療も増加しています。

―問6
 そこでお聞きします。
 県内の、医療機関に対する歯科医の訪問診療の現状についてお聞かせください。

【健康増進課長答弁】
 医療施設調査によれば、本県の平成26年9月中の歯科訪問診療件数は、34,575件となっており、平成23年の同調査の19,111件に比べて、1.8倍増加している。


―問7
 今回策定される「県地域医療構想」において、歯科医の訪問診療をどのように位置付けられているのか、お答えください。

【医療指導課長答弁】
 今後、在宅医療等の医療需要が増加していくことから、在宅医療等の提供体制の充実を図っていくことが重要であり、訪問歯科診療の充実も重要な課題の一つであると認識している。
 このため、地域医療構想では、在宅医療等の充実を図るための取組み例として「訪問歯科診療推進整備事業」を掲載するとともに、「在宅医療の場面において、医療や介護と連携できる歯科医師や歯科衛生士の確保・養成が求められている」ことについて触れ、「県歯科医師会等関係団体と連携して在宅医療をはじめ将来のあるべき医療提供体制を支える歯科医師・歯科衛生士の確保・養成を図っていく」こととしている。


 今日、我が国の高齢化の進展に伴い、歯科医の訪問診療先としては自宅が最も多くなっているという調査結果が明らかとされています。

 今後、慢性期を含め、在宅医療等の需要が増加するといわれており、地域での在宅医療に係る歯科医の関りが重要と考えます。

―問8
 そこでお聞きします。
 具体的に、これから地域や在宅での口腔ケア等訪問歯科診療についてどのように普及していくと考えられているのか、お聞きします。

【高齢者地域包括ケア推進課長答弁】
 県では、「福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例」を制定し、歯科口腔保健啓発週間を設定するなど、成人期から高齢期における口腔機能の維持・向上の重要性について、県歯科医師会と連携し、普及啓発に取り組んでいる。
 また、県内6カ所の郡市区歯科医師会が「在宅歯科医療連携室」を設置し、ここを拠点に、訪問歯科診療に係る相談対応、訪問歯科診療所との連携強化などに取り組んでおり、県は、この事業に財政支援を行っている。
 さらに、高齢者の在宅生活を支える介護支援専門員などが、高齢者の口腔内の状態を把握し、適切なケアプランを作成できるようにするための県歯科医師会の取組みにも財政支援を行っている。
 これらの取組みにより、訪問歯科診療を推進し、その普及に努めてまいる。


 高齢者の死因の第3位は肺炎であり、その中でも口腔内の歯周病菌や細菌が気道に入り込む誤嚥性肺炎によるものが多いとされています。

 特に、高齢者施設の入所者の中には、身体機能や認知機能が低下して自分で口腔清掃ができない方や介助が必要な方が多く、誤嚥性肺炎の予防のためにも、口腔ケアが重要となってきます。

―問9
 そこでお聞きします。
 「特別別養護老人ホーム・介護老人保健施設」といった高齢者施設における県の歯科口腔保健推進の取り組みと、今後の方向性についてお伺いします。

【健康増進課長答弁】
 多くの高齢者施設では、口腔ケアを行っているのは主に介護従事者であり、歯間ブラシを使用した口腔ケアなどが十分には行われていない。
 このため、県では、歯科衛生士が県内4ブロック、それぞれ1か所の高齢者施設を定期的に訪問し、施設職員に正しい口腔ケアの手法を指導する取組みを行っている。
 これらの施設では、指導を受けた施設職員が、入所者の歯磨き、歯間ブラシでの清掃などを行った結果、入所者の口腔状態は改善し、施設職員の口腔ケアの意識も向上している。
 また、その他の高齢者施設を対象に、県内4ブロックで正しい口腔ケアの手法に係る講習会を開催し、普及拡大を図っているところである。
 今後は、施設職員が参加しやすいよう、保健福祉事務所ごとに講習会を開催し、さらなる普及拡大を図ってまいる。


 医療を考える場合、当然、医科はもちろん、歯科医療並びに歯科口腔保健の在り方も同時に考えるべきであるという思いから、今回、「福岡県地域医療構想に係る歯科口腔衛生の関りについて」質問して参りました。

 最後に松本部長に要望です。

 今回の「地域医療構想」においては、今後の本県の高齢化の進展に対応するための病床転換ということが基本にあると思いますが、医療を考える場合、歯科医療並びに歯科口腔保健の在り方も同時に考えるべきであるということを申し述べましたが、これからの本県の地域医療を考えるにあたり、医療と歯科口腔保健との連携をしっかりと図っていかれますよう要望申し上げます。


 次の項は、「民泊問題について」です。

 今日、いわゆる違法民泊が横行するなか、本年2月18日、一般社団法人「九州民泊協会」が福岡市で設立されました。

 同協会では、「民泊の多くは行政の管理外にある無許可営業のため、近隣住民の不安が高まっている」とし、「民泊と地域の発展のためにも、無許可民泊の健全化を図りたい」と、今後の取り組みを示すとともに、「こういう場に来ない無許可民泊業者が問題であり、取締りも必要である」と問題提起されています。

 全国的に、旅館業の許可を得ていない違法民泊が問題視されている中、大阪府や京都府は取り締まりを強化し、行政指導や警察への告発を行っています。

 福岡市が行った違法民泊の調査では、市内で旅館業の許可を得ているのは47施設しかなく、「市内の掲載物件のほとんどは無許可」とみています。また、近隣住民から「夜中に騒がしい」、「知らない外国人が出入りして不安」などと苦情を受け、民泊業者へ行政指導を行った件数は、2015年度に12件、2016年度は7月末までに21件に上っています。

―問1
 そこでお聞きします。
 本県内の「民泊」物件について、民泊仲介サイトにおける掲載状態をどのように把握されているか、お聞きします。

 併せて、旅館業の許可を得ていない違法民泊が増加しているなか、大阪府や京都府は取り締まりを強化していますが、本県として、違法民泊業者への立ち入り調査、行政指導などを行ったことがあるのか否か、お聞きします。

【保健衛生課長答弁】
 民泊仲介サイトにおける県内物件の掲載状況と県の無許可民泊への立入調査の実施状況について
 県内物件の掲載状況は、報道によると約1500件程度、そのうち、福岡市の掲載物件が約1350件程度となっている。県管轄域では、現在40件が掲載されている。
 本県においては、昨年12月、民泊仲介サイトの掲載状況を確認し、県管轄域について、現在までの間、92件の掲載物件を確認し、調査した結果、このうち9件が旅館業法の許可施設となっている。
 無許可営業が疑われる83件のうち43件については、現地調査を行い、営業を中止させた。残る40件については、継続して調査及び指導を行っている。


 「違法民泊」物件が多いと指摘されている大阪市においては、吉村市長は、「違法民泊が増加しているという現状を看過できない」として、「違法民泊はドンドン摘発して、取り締まる」と、対策強化を明言しています。

―問2
 そこで、本県として、今日の違法民泊の実情に鑑み、県として違法民泊業者への指導並びに取締りを強化し、合法民泊を促すということが肝要だと思います。

 今後、県警察への告発など、県警察との連携を図り、取締りを含め、どのような対策を進めるのか、お聞かせください。

【保健衛生課長答弁】
 県警察と連携した取締り対策について
 昨年11月、県警察及び保健所設置市の衛生部局と、「民泊に関する連絡会議」を開催し、無許可営業への指導状況等について情報共有を行った。
 会議においては、無許可民泊への対策について、今後とも、県警と連携した対応が重要であることを再確認した。
 現時点においては、告発に至ったケースはないが、今後、行政指導に従わない等、悪質な事案については、警察への告発など、厳正に対処してまいる。


 近年の民泊を取り巻く情勢に鑑み、政府はこれまで『旅館業法改正』を視野に法改正の方向で検討されてきました。

 しかし、この度、政府は先週、3月10日、マンションなどの空き室に旅行者を有料で泊める「民泊」を本格解禁する『住宅宿泊事業法案(民泊法案)』を閣議決定し、国会に上程するとしています。

―問3
 そこで、今回の『民泊新法』について、その概要とポイントについてお聞かせください。

【保健衛生課長答弁】
 閣議決定された住宅宿泊事業法案の概要について
 法案の概要ですが、「届出」及び「登録」に関する制度が創設されている。まず、「届出制度」ですが、住宅で宿泊事業を営もうとする場合は、都道府県知事等への届出が必要となっている。
 次に、「登録制度」ですが、住宅宿泊管理業を営もうとする場合は、国土交通大臣の登録、住宅宿泊仲介業を営もうとする場合は、観光庁長官の登録が必要となっている。
 新法案においては、旅館業法と異なり、住宅の年間提供日数が180日以内に制限される一方、建築基準法上、旅館業ができない地域においても、人を宿泊させることができることになっている。
 また、宿泊場所として提供しようとする物件は、都道府県知事等に届出が出ているものに限り、仲介サイトに掲載できるようになっている。
 宿泊者名簿の記載内容、宿泊者の衛生の確保等に必要な措置は、今後、省令等により定められることになっているので、その内容を精査し、適切に対応してまいりたい。


 これまで何度か「民泊」問題についてやり取りしてきましたが、国会での『民泊新法』により、「民泊」は新たなステージに入りました。

 これまでも指摘したように、「民泊」については規制と緩和の両方から対策を講じることが求められます。県として、今回の新法制定を視野に、今後、しっかりと対応と対策を講じて頂きますよう要望申し述べまして、私の質問を終わります。

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