県議会質問

2018年9月28日

【総務部】
地方公共団体金融機構について

 本年(2018年)8月1日、「地方公共団体金融機構」は設立10周年の節目を迎えました。

 当機構は、2008年8月、全ての都道府県・市町村の出資により地方共同法人として設立され、以来、今日に至るまで、 地方公共団体のニーズを踏まえ、長期・低利の資金供給等を通じて地方財政に貢献してきたものと考えています。

 地方債資金の共同調達機関については戦前からその必要性が唱えられていましたが、戦後、我が国全体の資金の逼迫状況が続く中、1957年に公共サービスの向上を図るため、国の特殊法人として「公営企業金融公庫」が設立されました。

 その後、2001年から2002年にかけて特殊法人改革の議論が提起され、さらに2004年から政策金融改革を求める声が強まる中で、「公営企業金融公庫」にも改革の波が押し寄せ、2006年の『行政改革推進法』及び「政策金融改革に係る制度設計」において、
 ①公営企業金融公庫を2008年度に廃止すること
 ②地方公共団体は共同して、資金調達のための新組織を自ら設立し、主体的に運営すること
 ③その際、国はヒト?モノ?カネの全ての面における関与を行わないこと
  等の改革の方向性が打ち出されました。

 このように国主導で始まった改革の流れに対し、地方六団体を中心とする地方サイドは危機感を持って対応し、2006年になると、地方六団体も新組織設立に向けて改革案の本格的な検討に着手しました。

 そして、2006年10月、地方六団体から総務大臣に対し、「国から地方へ」という地方分権改革の趣旨に沿って、地方が共同して主体的かつ責任を持って運営する地方共同法人を特別法に基づいて設立し、地方公共団体の長期低利の資金ニーズに的確に対応することを旨とする「地方案」が提出されました。

 総務省は、この地方案を踏まえ、財務省、行政改革推進事務局等と協議?調整を行い、国会での議論を経て2007年5月、『地方公営企業等金融機構法』が成立したところです。

 そして、機構法制定の動きと並行し、地方六団体も金融機構設立の準備を進め、2008年8月、全都道府県及び市町村の出資により「地方公営企業等金融機構」が設立されました。

 この結果、同年10月には「公営企業金融公庫」は廃止され、その全ての債権債務が機構へ承継されたところであり、「公営企業金融公庫」は地方の共同調達機関としての使命と役割を機構へ引き継ぐことになりました。

 その後、機構法の改正により、2009年6月、貸付対象が一般会計債全般及び臨時財政対策債に拡大されるとともに、組織名称が「地方公共団体金融機構」に変更され、現在に至っています。

【質問1】
 そこでお聞きします。
 『地方公共団体金融機構』の役割を、県としてどのように認識し、評価しているのか、まずお聞きします。

【財政課長答弁1】
 地方公共団体金融機構は、都道府県及び市町村等の地方債資金の調達機関として、地方公共団体の資金ニーズに応じて、長期で低利の資金を安定的に供給するとともに、財政・金融に関する専門的な助言を行うという役割を担っています。

 機構は、地方公共団体自らが設立し、主体的に運営する地方共同体であることから、その最高意思決定機関である代表者会議6名を設置することとなっており、そのうち半数を地方三団体、すなわち全国知事会、市長会及び町村会が選任する知事、市長及び町村長となっています。

【質問2】
 そこでお聞きします。この間、経営の最高意思決定機関である代表者会議に本県ならびに県内の市町村が選出されたことはあるのか。

【財政課長答弁2】
 代表者会議の委員6名のうち、地方三団体から3名が選任されていますが、本県からは、機構発足直後の平成20年8月から平成22年4月に、前添田町長が就任されたことがあります。

 機構資金は、財政融資資金と並んで公的資金に位置づけられ、毎年度、地方債計画に計上されるとともに、地方債協議制度の中で総務大臣又は都道府県知事が同意又は許可を行った地方債に対して貸付けが行われてきました。

 機構は、地方公共団体が公営企業の経営や公共施設の整備のために必要とする長期資金のニーズに的確に対応してきたものと考えています。

 また、機構の業務範囲は設立当初、厳しく限定されており、機構法の本則上の貸付分野は公営企業のうち上下水道、病院、交通及び公営住宅事業並びに政令で定める工業用水道事業、電気?ガス事業等の公営企業のみであり、一般会計債については附則で臨時三事業(臨時地方道整備事業、臨時河川等整備事業及び臨時高等学校整備事業)が認められているにすぎなかった。

 その後、2008年のリーマンショックを受けた法改正によって、機構の貸付対象は、本則上、公営企業債、公営住宅事業債のみならず、一般会計債全般及び臨時財政対策債に拡大されています。

 この法改正を受け、一般会計債のうち実際に地方債計画に計上され、貸付けが実施された主な事業を見てみると、2009年度から合併特例債、2011年度から緊急防災・減災事業債、2015年度から公共施設最適化事業債と、地方単独事業を中心に年々拡充が図られ、2018年度からは過疎債、すなわち簡易水道、下水道に関する貸付けも開始されることとなっています。

 機構の貸付残高の約6割が、指定都市を除く一般市町村となっており、資金調達能力が比較的弱い小規模団体に対する貸付にウェイトが置かれています。

【質問3】
 そこでお聞きします。
 本県及び県内一般市町村の借り入れ状況と、借入額全体に占める機構借入の割合はどうなっているのか、お示しください。
A

【財政課長答弁3】
 直近の平成29年度の新規借入額で説明しますと、
○ 本県の借入額全体は2,612億9百万円余ですが、このうち機構からの借入額は131億5千8百万円余で、借入額全体の約5%を占めています。
○ 一方で、政令指定都市を除く市町村の機構からの借入額は332億1千7百万円余で、借入額全体の約26%と、より大きな割合を占めています。

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