Ⅰ 視察概要

1.視察日程

2015年9月8日(火)~10日(木)

2.視察先

(1) 9月8日
①「公立はこだて未来大学」

(2)9月9日  
①「函館奉行所」
②「洞爺湖サミット記念館」
③「洞爺湖有珠山ジオパーク」『大地の恵み』展
④北海道登別「明日(あけび)中等教育学校」

(3)9月10日
①「アイヌ民族博物館」

Ⅱ 視察報告

1.「公立はこだて未来大学」

今回、最初の視察先は函館市にある「公立はこだて未来大学」でした。

(1)大学側担当者
○理事・事務局長  政田 郁夫氏
○企画総務課長   佐藤 善則氏

はこだて未来大学1.jpg

はこだて未来大学2.jpg

(2)「公立はこだて未来大学」の概要
①所 在 地 :函館市亀田中野町116-2
②法人設立団体:函館圏公立大学広域連合(函館市、北斗市、七飯町の2市1町) 
②沿  革  :2000年4月 「公立はこだて未来大学」開学
        2003年4月 大学院開設
        2008年4月 公立大学法人「公立はこだて未来大学」設立
③理事長・学長:中島 秀之氏

(2)学部学科等
①学部学科

学部 学科
修業年限
入学定員
収容定員
システム情報科学部
情報アーキテクチャ学科
4年
120人
480人
複雑系知能学科 4年 120人 480人

②大学院
研究科 専攻
課程
修業年限
入学定員
収容定員
システム情報
科学研究科
システム情報
科学専攻
博士(前期)課程 2年 50人 100人
博士(後期)課程 3年 10人 30人

(3) 建学の理念
 (大学HPより  http://www.fun.ac.jp/
 「公立はこだて未来大学」は、「人間」と「科学」が調和した社会の形成を願い、深い知性と豊かな人間性を備えた創造性の高い人材を育成するとともに、知的・文化的・国際的な交流拠点として地域社会と連携し、学術・文化・産業の振興に貢献することを建学の理念とされています。
 「公立はこだて未来大学」は、函館圏公立大学広域連合を設立母体として、地域の志と熱意を糧に2000年に開学されました。
 函館は、日本がはじめて近代の世界に向けて開いた港のひとつとして、ユニークな歴史をもつ港湾都市です。
 幕府の箱館奉行所が設けた諸術調所は、日本最初の西洋科学技術の教育機関であり、さまざまな成果や人材を生み出しました。このまちの人々は、外国の異文化をどん欲に吸収しながら、新しい科学技術や文化、産業、そして教育などの分野 で独自の取り組みを重ねてきました。
 道南圏唯一の公立大学である「公立はこだて未来大学」は、情報系単科大学として、20世紀末から爆発的に進展をつづける情報社会のグローバル化に呼応しながら、システム情報科学を基軸にした人材の育成と研究の未来、そして地域の未来を拓くことを針路としています。

(4)学部・学科の紹介
(大学HPより  http://www.fun.ac.jp/
はこだて未来大学3.jpg①システム情報科学部
「公立はこだて未来大学」は、システム情報科学部の1学部からなる単科大学です。

はこだて未来大学4.jpgこの若い学問には、情報技術やデザイン、アート、コミュニケーション、認知心理学や複雑系、人工知能といった、従来はそれぞれ独立していたジャンルが有機的に融合しています。基盤にあるのは、いまなお爆発的な進化と発展をつづける多様なコンピュータ技術です。来るべき情報技術の地平を見すえ、これからの社会を支えて動かす人材を育むために、この学はこだて未来大学5.jpg部には、既製の情報工学や情報科学の枠組みを越えた、高度でユニークなカリキュラムが用意されています。

世界のあらゆる事象を個別にとらえるのではなく、相互に関わり合い影響を及ぼし合うシステムとしてとらえるシステム情報科学では、導き出される解は決してひとつではありません。この世界を構成するあらゆる要素を「情報」として、相互に関連し合う「システム」としてとらえるのが、システム情報科学という学問です。

②情報アーキテクチャ学科
今日の情報ネットワーク社会は、人と人、人と機械、機械と機械のコミュニケーションが絡まり合い、とても複雑な情報交換の連続で成り立っています。情報アーキテクチャ学科では、人間中心の情報システムを構築するために必要な技法や知識、思想を身につけます。情報デザイン、認知心理学、コミュニケーションなど様々な学問を融合しながら、 今日の社会基盤となる高度な情報システムを構築する技法、快適な情報環境を作り出していく技法を学びます。ここから育つのは、人間とコンピュータの新しい関係を切り拓くことのできる人材です。

③複雑系知能学科
コンピュータの進化は、地球規模の気候や海流、生命体のDNAネットワーク、大規模な交通網などの複雑な現象のシミュレーションや、ロボットや計算機上での人工知能の開発を可能にしてきました。複雑系知能学科では、以前は計算機で取り扱えなかったような複雑な現象や、「知能」という不思議な現象の背後にあるルールを解析し、情報システムとして表現し制御する技法を学びます。ここから育つのは、現実世界にあふれる複雑な問題群にアプローチし、非線形数理科学を駆使して解析に取り組み、斬新なシステムを開発できる人材です。

(4)まとめ

はこだて未来大学6.jpg 北海道・函館郊外の広大な土地に建てられた「公立はこだて未来大学」は、函館圏公立大学広域連合2市1町による道南圏唯一の公立大学です。北海道内はもとより、東北、北陸、関東地域から学生集まっています。

はこだて未来大学7.jpg 学内に入ってまず目を引くのは、その構造のユニークさです。大学の取の気風と実践のベースとなっているのが、「オープンスペース、オープンマインド」という精神です。
 20世紀の教育は、教える教員から教えられる学生へ、知識を一方的に流し込むスタイルで、決められた教室、決められた時間に行われる講義を意味しました。同大学の構想は、まずこのスタイルを変革することから始まっています。

 教員と学生のあいだに、双方向の学びの回路を創る。学生と学生が共に学び合う。学生がキャンパスの中にいるあいだは、すべてが学びの時間であり、すべてが学びの空間であるという発想のもと、大学は設計されています。

本部棟は1階から5階まで吹き抜けになっており、各スタジオ(研究室)や教授室も全て開放されています。また、各教室の壁は全てガラス張りで、まさにオープンスペースとなっています。そこにいる全員に1つの空間を共有する感覚をもたせ、学びの共同体としての一体感を生み出します。

誰もがいま学内で何が起こっているのかを、一望のうちに知ることになります。そしてこの空間と一体となったカリキュラムやプログラムのもと、グループワークやディスカッション、プログラミング、デザイン、ものづくり、コミュニケーション、プレゼンテーションなど様々な活動が、あちらこちらで思い思いに繰り広げられています。

このオープンな空間と、オープンな学びが、「公立はこだて未来大学」の特徴といえます。
 特に、AI(人工知能)の分野で、21世紀をリードする学生の排出に努めて頂きたいと感じました。

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