Ⅰ 視察概要

1.視察日程

2015年7月27日(月・移動日)~8月1日(土・移動日)

2.視察先

(1)7月28日(火) (ジャカルタ)
①「JETROジャカルタ事務所」視察
②日経弁護士/日経会計士との意見交換(「JETROジャカルタ」会議室)
③「ASEAN事務局」視察

(2)7月29日(水) (ジャカルタ~ジョグジャカルタ)
①「安川電機インドネシア・ロボットセンター」視察
②「ブランバナン」視察

(3)7月30日(木) (ジョグジャカルタ~ジャカルタ)
①インドネシア「看護学校」視察
②「ボロブドゥール遺跡」視察

(4)7月31日(金) (ジャカルタ)
①「インドネシア ダイハツ・カラワン自動車工場」視察

Ⅱ 視察目的

 インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスの10ヶ国が、経済、社会、政治、安全保障、文化などに関する地域協力を結びました。これを総称して「東南アジア諸国連合」、いわゆる「ASEAN」といいます。

 「ASEAN」は1967年の「バンコク宣言」によって設立され、当初は政治と経済協力を推進するということで、インドネシア、タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国が参加していましたが、1984年にブルネイが加盟し、以後、加盟国が順次増加し、現在は冒頭のとおり10ヶ国で構成されています。そして、これら10ヶ国は本年2015年末、経済統合を果たします。すなわち「ASEAN経済共同体」=「AEC」の誕生です。

 「AEC」が実現すれば、域内の人口は6億人を超えることになり、人口規模で見ると、欧州連合(EU27ヶ国)の5億人、北米自由貿易協定(NAFTA3ヶ国)の4億6千万人、南米共同市場(MERCOSUR5ヶ国)の2億8千万人をはるかに上回ります。また、アジアでは、中国、インドに次ぐ人口圏域となります。

 現在のGDPの比較では、「ASEAN」は欧州連合及び北米自由貿易協定から大きく水をあけられていますが、今後、単一市場と単一生産基地の構築、域内関税撤廃、投資の自由化などが図られることにより、10年後には南米共同市場を抜き、中国やインドに匹敵する世界有数の経済圏が登場すると予想されています。

 事実、この10年間、「ASEAN」は高い経済成長を見せており、中間層も急速に拡大しており、世界の「開かれた成長センター」と見越されるなど、世界各国から熱い視線を浴びています。

 世界から注目される「ASEAN」ですが、日本との関係は古く、1973年に設立された「日本・ASEAN合成ゴムフォーラム」に始まり、2013年には交流開始40周年を迎えています。
 また、この間、ビジネスパートナーとしても緊密な関係を築き、2011年の日本と「ASEAN」の貿易総額は約20兆円にも上るなど、「ASEAN」は日本企業にとって主要な投資先となっています。

 このように、「AEC」は日本企業にとって最重要な生産基地・市場であり、日本にとって「ASEAN」は経済的に脅威となる反面、絶好の市場ともいえます。そして、九州や福岡にとっても重要なエリアといえます。

 そこで、我が会派は、本年末の「AEC」の誕生をにらみ、前期4年間の間、「AEC」が東アジアに及ぼす経済的影響、「AEC」と日本経済との関係。そして、「AEC」と本県経済との関係や、本県企業の「ASEAN」進出など、幅広く「AEC」の研究を図ってきました。

 そのため、2012年7月にはミャンマーとバンコク、2013年1月にはラオス、2014年8月にはシンガポールを視察しました。そして、今年7月には「ASEAN」の本家本元ともいえるインドネシアを視察、首都ジャカルタにある「ASEAN本部」を訪れることにしました。

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