県議会質問

人口減少社会における本県の住宅政策の在り方について

 次に、中古住宅の流通についてお尋ねします。
 先ほどの国交省調査では、「その他空き家」を最寄りの鉄道駅までの距離別に分析した結果、全国的には、戸建て等については、駅から近く便利と思われるような立地の方が、空き家率が高いという状況となっています。

 すなわち、地方都市で賑わいを見せていたまちの中心街や駅前、そして、その時代のあこがれであった郊外のニュータウン、新興住宅地など、たとえ良好な住宅地であったとしても、現在の居住者の寿命が尽きるある時期から一気に空き家が増えるという指摘です。

 2016年3月、国の住宅政策の方針を示す「住生活基本計画(全国計画)」が閣議決定されましたが、この「住生活基本計画」の中には、目標として、2013年の中古住宅流通の市場規模4兆円を、2025年には8兆円に倍増させること、2013年の「その他空き家」318万戸を、2025年には400万戸程度と、その増加度合いを抑えるという点が新たに盛り込まれています。

 国は、本年2月28日、耐震性などの一定の要件を満たした中古住宅に商標を付与する制度を、今年の夏以降に新たに始めると発表しました。

 具体的には、まず、中古住宅を売ろうとする不動産業者や仲介業者で構成する事業者団体が国の登録を受けます。国の登録を受けた事業者団体は、物件の耐震性があることや雨漏りなど構造上の不具合がないことなどを確認し、過去に行われたリフォーム工事の情報や外装や内装、水回りの写真などを開示します。国の登録を受けた事業者団体が、こうした要件を満たした中古住宅に「安心R住宅」という商標をお墨付きとして与える制度とのことです。

 都市部では「その他空き家」率は低いものの、低いから問題が少ないというわけではありません。大都市部でも「その他空き家」数は増加しており、三大都市圏で一番多いのは大阪で、次いで東京となっています。また、都市部では住宅が密集しているため、問題空き家が1軒でもあると近隣への悪影響が大きいという問題も指摘されています。

 住宅専門家からは、「その他空き家」の増加を抑制するためには、住宅の供給者側も需要者側も、新築住宅を建てるよりもすでにつくられた住宅やまちの再生に取り組む方が、住宅ローン・税制上の優遇措置などで様々なメリットが得られるといった制度上の優遇措置に加え、これまでつくってきたまちの世代交代を進め、まちが低密度化するスポンジ化や荒廃を少しでも食い止るという世代を超えた意識改革が必要と指摘されています。そのためにも、中古住宅の流通規模の拡大などの取り組みが必要です。 

—問3
 そこで知事にお尋ねします。
 国が「住生活基本計画」の目標にある中古住宅の流通促進を受けて、県における中古住宅の流通を促進するための取組みと実績についてお答えください。

【小川知事答弁】

  • 県では、平成23年度から、既存住宅を安心して取引きするための建物状況調査「住まいの健康診断」の検査費助成を行っており、今年度の2月末時点の利用件数は238件で、年々増加している。
  • また、既存住宅の流通促進をテーマとしたセミナーや相談会を開催し、県民や事業者への普及啓発も行ってきたところである。
  • 今年度からは、若年世帯・子育て世帯を対象に、既存住宅取得時のリノベーション工事費補助を実施しており、2月末時点の補助実績は46件となっている。

  今後も、こうした取組みにより、既存住宅の流通を促進してまいる。

 政府が閣議決定している「都市再生基本方針」によると、「都市の基本的構造の在り方」として、「我が国の都市における今後のまちづくりは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、高齢者や子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現すること、財政面及び経済面において持続可能な都市経営を可能とすること、低炭素型の都市構造を実現すること、災害から人命を守ること等を推進していくため、都市の基本的構造の在り方について見直しを行い、コンパクトな都市構造へと転換していくことが重要である。」と明記されています。

 現在、全国の多くの都市では住宅地が郊外部に拡大してきた一方で、まちの中心部では空き家・空き地がランダムに発生する「都市のスポンジ化」というべき事象が顕在化し、都市の低密度化が進んでいることは先ほども指摘した通りです。

 これにより、行政サービスの非効率化はもとより、商店街が疲弊し、医療機関や金融機関等が撤退する地域も現れ、更には、まちの魅力の低下、まちの機能が低下など、さまざまな悪影響を及ぼしています。

 さらに、マイカーを使わなければ買い物や病院に行けなくなり、ましてやショッピングセンターやガソリンスタンドの閉鎖が進む地方部では、より遠くまで車を飛ばさないとガソリンを入れられない、買い物ができないという現実があります。

 私は、これまでに本県議会において、地方定住化の取り組み、市町村合併自治体への支援、買い物難民対策について知事を質してきましたが、今回の質問もそれら一連の流れ、方向性の延長にあるもので、問題提起、政策提言の質問と考えています。

—問4
 そこで、知事にお尋ねします。小川知事は、今後の人口減少社会、超高齢社会における本県の都市づくりの課題についてどのように認識されているのか、お聞きいたします。

【小川知事答弁】

  • 本県の人口は、昭和45年の国勢調査以来、一貫して増加基調にあるが、その伸びは鈍化しており、いずれ人口減少に転ずるものと見込まれている。

   また、地域ごとに見ると、既に減少している地域もある。

  • 年齢別の人口構成については、県内の各地域とも少子高齢化がさらに進展し、平成42年頃には、3人に1人が高齢者となることが予測されている。
  • モータリゼーションの進展などを背景として、郊外への大規模店舗の立地と、市街地が拡大してきた。一方、街なかにおいては居住人口の減少や空き店舗の増加が見られる。
  • 今後、人口減少やさらなる少子高齢化が見込まれる中で、居住機能や医療・福祉・商業等の都市機能の適正な立地と公共交通の維持・充実を図っていく必要があると認識している。

—問5
 また、人口減少社会、超高齢社会における都市づくりの課題に対応するため、私は、高度成長期を通じてこれまで生じていた都市の外延化を抑制し、コンパクトな都市構造に転換を図ることが必要と考えますが、知事は本県の都市づくりの課題解決に向けて、今後どのように取り組まれるのか、併せてお聞きします。

【小川知事答弁】

  • 市街地の拡散や低密度化など都市を取り巻く諸問題を踏まえ、本県では、昨年度、福岡県都市計画基本方針を改定し、拠点と公共交通軸沿線に居住機能と都市機能の誘導を図っていく「持続可能な都市づくり」に取り組んでいる。
  • 具体的には、まず、土地利用規制や開発許可などの都市計画制度を適切に運用するとともに、市町村職員を対象とした制度運用に関する研修会や、市町村間で課題を共有し連携を図るための勉強会を開催しているところである。
  • また、計画的に居住機能や都市機能の誘導を図るための立地適正化計画の策定を市町村に促し、技術的助言や計画策定に向けた取組みへの補助を行っている。
  • さらに、事業化段階におきましても、居住機能や都市機能の立地を誘導する市街地再開発事業に対する支援制度を設けており、現在、小倉駅南口東地区で支援を行っている。
  • このような取組みにより、誰もが安全・安心な生活を営める「持続可能な都市づくり」を推進してまいる。

【要望】
 ただいま、知事の答弁を頂いたところですが、指摘と要望を申し上げます。
 今回の「人口減少社会における本県の住宅政策」という質問の趣旨は、空き家対策をどうするかという狭隘化した議論ではなく、郊外へ郊外へと市街地を広げ、住宅をつくり続けるという政策から一旦立ち止まり、人口減少社会に入ったという現実を認識し、街のスポンジ化や低密度化かが進んでいる現状を考え、いままでどおりの住宅政策でいいのかということを問うたわけであります。

 そのうえで、2点要望を申し上げます。

 国は、中古住宅の取り引き促進を図るため、耐震性など一定の要件を満たした中古住宅を登録する制度、いわゆる活性化商標を今年の夏以降、新たに始めるとしています。
 こうした国の制度設計の動向を注視しながら、本県としても中古住宅の取り引き促進を図る必要があると思いますので、新年度、政策づくりを進めて頂くことを要望します。

 2点目です。
 今後、空き家のうち、「その他空き家」とともに、今後問題となるのが「賃貸空き家」です。
 したがって、県内の空き家の実態調査については、新年度早々に調査結果をデータベース化すると答弁されましたが、私は、県内市町村が実施する空き家調査に「賃貸空き家」も加えて頂くよう、県から働きかけをし、協議して頂きますよう要望して、私の質問を終わります。

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