県議会質問

2018年9月18日

国の森林環境税導入にあたっての本県の対応について

 国民民主党県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従い、一般質問を行います。最初の項は「国の森林環境税導入にあたっての本県の対応について」です。

 本年5月25日、新たな法律である『森林経営管理法』が可決され、成立しました。来年、2019年4月1日に施行され、「新たな森林管理システム」がスタートします。

 この「新たな森林管理システム」とは、経営管理が行われていない森林について市町村が仲介役となり、森林所有者と林業経営者をつなぐシステムを構築し、森林の担い手をさがすというものです。

 国内の森林は、戦後や高度経済成長期に植栽されたスギやヒノキなどの人工林が大きく育ち、木材として利用可能な時期を迎えようとしています。

 利用可能な森林が増える中、国内で生産される木材も増加し、木材自給率も上昇を続け、2016年には過去30年間で最高水準となる34.8%となるなど、国内の森林資源は、「伐って(きって)、使って、植える」という森林を循環的に利用していく新たな時代に入ったと言えます。

 一方、我が国の森林の所有は小規模・分散的で、長期的な林業の低迷や森林所有者の世代交代等により森林所有者への森林への関心が薄れ、森林の管理が適切に行われず、伐採した後に植林がされないという事態が発生しています。

 国の調査では、全国83%の市町村が、管内の民有林の手入れが不足していると考えている状況にあり、森林の適切な経営管理が行われないと、災害防止や地球温暖化防止など森林の公益的機能の維持増進にも支障が生じることとなります。

 加えて、所有者不明や境界不明確等の課題もあり、森林の管理に非常に多くの労力が必要になるといった事態も発生しています。

 このような中、適切な経営管理が行われていない森林を、意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化するとともに、それができない森林の経営管理を市町村が行うことで、森林の経営管理を確保し、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図ることとしています。

 それが、今回法制定された『森林経営管理法』のなかで謳われている「新たな森林管理システム」です。

 そこでまず、森林経営管理制度について質問です。
 法3条では、「林所有者は、その権原に属する森林について、適時に伐採、造林又は保育を実施することにより、 自然的経済的社会的条件に応じた適切な経営又は管理を持続的に行わなければならないこととする。」とあり、適切な経営管理が行われていない森林がある事を踏まえ、森林所有者に適切な経営管理を行わなければならない責務がある事を明確化されています。

 このように森林所有者の責務が法律で明確化されているわけですが、本県の人工林を見てみますと12万7千ヘクタールありますが、現状では、おおむね半分の人工林において森林所有者による経営管理が難しい

 そこで、お聞きします。
 本県における民有林での「適切な経営管理が行われていない森林」についての件としての把握はどのように把握されているのかお指名頂いた上で、森林所有者に対してどのようにして法の趣旨を伝えていこうとされるのか、お答えください。

【小川知事答弁】
○ 森林経営管理制度は、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図るために、来年4月創設されるものであり、森林所有者に制度の目的や仕組みを理解していただく必要がある。
○ このため、来年度からの制度の円滑な実施に向け、市町村や林業経営者を対象に説明会を開催するとともに、市町村や関係団体と連携し、広報誌やホームページなどを通じ、森林所有者に対して、この制度について広く周知を行って参る。

 また、法3条から9条に置いては、「市町村は、区域内の森林の経営管理が円滑に行われるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとし、経営管理の状況や集積の必要性等を勘案しつつ、経営管理権集積計画を作成することにより、森林所有者の委託を受けて立木の伐採及び木材の販売、造林並びに保育等を行うための権利(経営管理権)を、森林所有者から取得できるよう措置。」とあります。

 すなわち、森林所有者自らが森林の経営管理を実行できない場合には、森林所有者の委託を受けて伐採等を実施するための権利、いわゆる「経営管理権」を市町村に設定し、その上で、市町村は、林業経営に適した森林を意欲と能力のある林業経営者に再委託し、伐採等を実施するための権利、いわゆる「経営管理実施権」を設定するとなっています。

 そこでお聞きします。
 県内の市町村が「経営管理権」を取得するにあたって、まずは管内の森林を現況把握する必要があると思いますが、すべての市町村に林業職など林業に携わる専門家がいるのかどうか、その点について、まずお聞きします。

 その上で、各市町村に林業職など林業に携わる専門家がいない場合についての、県としての支援策はどうなるのかお聞きします。(林業組合などに委託できるのか?)

【知事答弁】
○ 森林経営管理制度は、経営が不十分な森林を、市町村を介して、意欲と能力のある林業経営者に集約化するとともに、集約できない森林は、市町村自らが管理することとなっている。
 しかしながら、制度の円滑な運用にあたっては、林務行政に通じた市町村職員が少ないといった課題がある。
○ このため、県としては、林業の専門知識を持ったアドバイザーを派遣し、間伐等の森林整備の進め方について助言するなど、市町村への支援を行っていく考えである。

 続けてお聞きします。
 市町村は、林業経営に適した森林を意欲と能力のある林業経営者に再委託し、伐採等を実施するための権利、いわゆる「経営管理実施権」を設定するとなっています。

 つきましては、こうした「経営管理実施権」を委託出来うる林業経営者が県内すべての地域に存在しうるのか、この点について知事の認識と見解をお聞きします。

【知事答弁】
○ 森林経営管理制度では、意欲と能力のある林業経営者に集約化することとなっており、今後、この林業経営者の基準が国から示されることとなっている。
 現在、県内各地で活動を行っている森林組合など32事業体が、経営規模の拡大や作業の効率化に取り組んでおり、これらの事業体がこの制度において一定の役割を果たすものと期待している。
○ また、今後、基準を満たす林業経営者を多く育てていくことが、制度の円滑な運用に役立つことから、林業経営を担う人材の育成・確保対策を強化していく考えである。

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