県議会質問

2017年9月22日

大学生・専門学校生を含む若年層の消費者被害について

まず、知事職務代理者服部副知事に質問です。
1.今回の若年層の詐取被害の実態について、知事職務代理者としてどのような認識をお持ちなのか、お聞かせください。

知事職務代理者 服部副知事

  • 消費者が、商品を購入すると同時に、その商品を賃貸する契約を業者と締結する、いわゆる「レンタルオーナー契約」に関して、収益金が支払われなくなった、あるいは、解約を申し入れたが購入代金も戻ってこない、といった消費生活相談が、昨年秋から、若年層を中心に増加している。

    その相談の内容からは、不当な取引行為のおそれがあると認識している。

 今回、被害にあった学生に「福岡県消費生活相談センター」に相談したかと問いますと、そうした機関があることも、どこにあるかも知りませんでした。

2.そこで、県内の幅広い世代に、消費生活に関する苦情や多重債務などの問題を相談する機関として「消費生活相談センター」などの存在をいかに周知させるか、このことも含め、本県の大学生、専門学校生ならびに若年層における消費者被害について、県としてどのような対策が取られているのか、お答えください。

知事職務代理者 服部副知事

  • 平成25年に実施した「消費生活に関する県民意識調査」によれば、消費生活上のトラブルにあった際の相談先として、「消費生活センターなどの行政機関」と回答した割合は、若年層の18歳から29歳までの層では0%、30歳代でも約11%と、低くなっていた。
  • こうしたことから、SNSやネットショッピングトラブルなど、若者にとって身近に起こりやすい事例をDVDやテレビで紹介し、トラブル解決の身近な相談窓口として、消費生活センターの周知を図っている。
  • こうした取組みに加え、大学・専門学校の協力を得て、新入生オリエンテーションや学生食堂などの場所を利用して、消費生活センターを周知していただくこととしている。

 大学生や専門学校生が詐取被害、詐欺被害に遭わないためには、大学や専門学校での啓発が必要だと考えます。

3.県として、県内の国公私立大学、専門学校に対する消費者教育、啓発活動をいかに図るのか、その対策についてお聞かせください。

知事職務代理者 服部副知事

  • 社会経験の少ない若者は、事業者の巧みな誘い文句を安易に信用し、人からの誘いを断るという判断がしにくいことから悪質商法の被害にあいやすい傾向がある。また、自身の収入や貯蓄額が乏しいことから、将来の仕事などに結び付く誘いなどにも乗ってしまいがちである。
  • このため、県では、最新の消費者被害情報を「消費者トラブル注意報」として、大学の学生課にメールで配信し、学生に周知していただいている。
    • また、同様の情報を市町村の消費生活相談窓口に配信するとともに、県のホームページにも掲載し、啓発に努めている。
    • 加えて、大学生などを対象に、契約知識やトラブル対処方法を習得させるため、大学・専門学校と連携し、昨年は出前講座を75回実施している。
    • このほか、学生生活を支援する教職員を対象に研修会を実施している。
  • 職域においては、事業者が若手社員向けに消費者教育を行う場合の支援策として、DVDの貸出しや、研修講師の派遣などを行っている。
  • 県としては、今後も、若年層の特徴を踏まえながら、大学・専門学校、市町村、事業者団体などと広く連携し、若年層の効果的な消費者教育の推進に取り組んでまいる。

 次に、教育長にお尋ねします。
 若年層が詐取被害、詐欺被害に遭わないためには、中学校や高等学校での消費者教育が必要だと考えます。

1.そこで、本県における消費者教育の現状についてお聞きするとともに、今後、県内の中学校や高等学校における消費者教育をいかに進めるのか、併せてお答えください。

【教育長】

  • 消費者教育については、近年の消費者に関わるトラブルの増加に伴い、内容の充実を図ってきている。
    • 中学校では家庭科・社会科において、消費者の基本的な権利と責任について、クーリングオフ制度や各種相談機関などを取り上げながら理解させ、消費者として適切な行動ができるよう指導している。
    • その上で、高等学校においては、家庭科・公民科の授業や県消費生活センターの出前講座を通じて、マルチ商法などの悪質商法やネットトラブルの実態と、センターへの相談などの対処法を指導している。
  • 今後とも、消費生活センター等の関係機関と連携し、子供たちが被害の防止や救済方法等について理解を深められるよう、具体的事例に即した指導を工夫してまいる。

 次に、警察本部長にお尋ねします。
 今回、被害にあった学生に、警察に相談したかと聞ききますと、「警察署は敷居が高い」、「近寄りがたい」と言い、「共犯者とみられるのではないか」、「警察官から叱られるのではないか」、「自分が悪いのだからと、相談に乗ってくれないのではないか」といったことを言っています。

 被害を受けた大学生らは、被害者同士、ラインやメールなどSNSのつながりがあり、情報交換や悩みを共有しています。そして、こうした若者の被害者の多くが、警察に対して同じような思いを抱いているとのことでした。

 この際、県警察には、こうした若者の消費者被害、詐取被害についての相談にあたっては、事件性を問うというのは当然だとしても、親身に相談に乗る、どのようにして適切なアドバイスをするか、いわば学生や若者を手引きするということが必要だと思います。

1.そこで、県警察として、相談の対応はどのように行っているのか、お答えください。

 併せて、県下の各警察署に若年者の詐取被害、詐欺被害、消費者被害をはじめとした各種相談に対する対応窓口、相談窓口を、ぐっと敷居を下げて、相談しやすいように取り組むべきだと思いますが、警察本部長の見解をお聞きいたします。
A

【県警察本部長】

  • 県警察においては、相談の窓口として、警察本部に相談コーナーを、また35警察署全てに相談に対応する係を設置するとともに、休日、夜間においても当直員が面接や電話による相談に対応している。
  • 寄せられた相談に対しては、相談内容に応じて、関係する部署が連携して組織的に対応し、指導、助言、他の専門機関の教示、あるいは違法行為が認められるような場合には、相手方への警告、検挙をおこなうなど、相談者の不安等を解消するための必要な措置を講じることとしている。
  • 警察本部や警察署には、プライバシーの保護に配慮した専用の相談室を設置するとともに、多様な相談に適切に対応できるよう、専門の研修を受けた警察職員のほか、経験豊富な元警察職員を相談に当たらせるなど、相談しやすい環境づくりを行っている。
  • また、全国共通の警察相談専用電話「♯9110」(シャープ.キュウ.イチ.イチ.マル)の設置や、県警ホームページからのメール相談の受け付けなど、相談者が警察署を訪れなくとも相談ができるようにしている。
  • 今後とも、防犯教室などの警察活動を通じ、相談窓口などについての周知を図るとともに、若年層を含めた多くの県民の皆様が、相談しやすい環境づくりに取り組んでいく。

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