県議会質問

2018年9月28日

【総務部】
地方公共団体金融機構について

 機構は地方公共団体に対して最長40年の長期資金の貸付けを行う一方、その原資は10年債を中心とした債券発行等により調達しており、貸付期間と資金調達期間との間に大きな差異が生じ得ることから、債券等の借換時の金利変動リスクを負っていますが、これに対応するため金利変動準備金が法定されています。

 機構設立以降の新たな貸付業務を行う一般勘定の金利変動準備金については、設立時(2008年度)に公庫から2,200億円を承継するとともに、翌年度から2017年度まで毎年度、管理勘定(旧公庫債権の管理を行う勘定)から2,200億円ずつを繰り入れて積み立てた結果、2017年度をもって、制度設計時に予定していた2兆2,000億円に達したところであり、確固たる財務基盤を構築できたものと認識しています。

 こうした中、純利益に関しては、近年の低金利環境の中にあって低減傾向にあるものの、概ね200億円から300億円程度を安定的に確保してきており、機構の経営は順調に推移してきたものと考えています。

 機構法において、総務大臣及び財務大臣は、機構の経営状況を踏まえ、機構の業務が円滑に遂行されていると認められる場合、公庫債権金利変動準備金等(管理勘定)が旧公庫債権の管理上,将来的に必要となる額を上回ると認められるときは、その上回る金額について国に帰属させることとされています。

【質問4】
 そこでお聞きします。
 これまで、どれくらいの国庫納付が行われ、その活用はどのように地方自治体に還元されているのか、お示しください。

【財政課長答弁4】
 地方公共団体金融機構は安定した経営を確保していることから、機構法に基づき国庫納付を行っています。
 その額は、平成20年度から29年度までの累計で2.2兆円と聞いており、これらは地方交付税等の財源として活用されています。

 機構法上、政府が2017年度末を目途として機構の業務全般について検討する旨が定められていることから、昨年、総務省は、地方財政審議会に「地方公共団体金融機構の業務の在り方に関する検討会」(以下「在り方検討会」という)を設置し、検討を行っています。

【質問5】
 そこでお聞きします。
 その検討で確認された業務の実施状況はどのようになっているのか、お答えください。

【財政課長答弁5】
検討会においては、
① 安定した経営を確保する中で、地方公共団体の資金ニーズに応じて、長期で低利の資金供給を適切に行っていること。
② 小規模団体への資金供給を支えていること、また、危機対応時におけるセーフティーネットの役割を果たしていること。
③ 地方公共団体の資金調達に関する地方支援業務が、適切に実施されていること。
④ 外部有識者が経営に参画する等、第三者の視点による外部的チェックが行われ、適切なガバナンスを確保していること。
 これらを確認したことが報告されています。

 以上を踏まえ、今回の検討結果としては、「機構のこれまでの業務実施状況等を踏まえ、機構が引き続きその役割・機能を適切に果たすことができるよう、現行の枠組みを堅持すべき。」「今後とも、地方公共団体の政策ニーズ等を踏まえながら、「共助」としての機構資金のあり方について、引き続き検討を加え、改善を図っていくことが必要。」と提言されたところです。

 在り方検討会の報告に示されたとおり、機構は設立から今日までの間、地方のニーズを踏まえながら、地方共同の資金調達機関としての役割を適切に果たしてきたが、人口減少と少子高齢化が進展するとともに、過去に整備された公共施設の更新,建替、長寿命化等の必要に迫られる厳しい環境の中で、地域の持続可能な維持?発展を目指す地方創生が喫緊の課題となっています。

 そこで、今後、新たな経営理念に基づき、地方公共団体への金融?財政面でのサポートを通じ、地方公共団体の健全な財政運営に貢献するため、取り組みを進めていくこととしている。

【質問6】
 そこで、最後に総務部長にお聞きします。
 今後、機構にどのような取り組みが求められていると考えられているか、お示しください。

【総務部長答弁6】
 今後、地方公共団体金融機構に対しましては、
① 市場公募債の発行が困難な市町村等に対する安定的な資金供給や、大規模災害時等におけるセーフティーネットとしての弾力的な資金供給
② 人口減少を受けた地方創生の取組みや、公共施設等の長寿命化や老朽化対策など、新しい政策ニーズを踏まえた、多様な資金供給
③ 地方公共団体の資金調達や財政運営についてアドバイスする、地方支援業務の強化
といった取組みが求められます。

 地方公共団体共同の資金調達機関としまして、地方のこうしたニーズに適切に対応できるよう、今後とも安定的な経営を図っていただきたいと考えております。

 最後に、総務部長に要望します。
 冒頭申し上げた通り、「地方公共団体金融機構」は設立10周年の節目を迎えましたが、機構の創設は、ちょうどリーマンショックが起こった時期であり、総務省も指摘する通り、我が国の財政は歳出・歳入両面から悪化し、県、一般市町村など地方自治体でも税収の伸び悩みなど、厳しい財政危機が訪れます。

 こうした中で、機構の公的資金は財政融資資金を補充する意味でも大変重要な意味合いを持ち、低金利で貸し出しされるということもあって、地方自治体の財政に大きく寄与しています。

 したがって、今後も「地方公共団体金融機構」が地方自治体にとって、財政的に貢献でき、継続して活用される法人であり続けられるよう、全国知事会でも本県のスタンスをしっかり伝えて頂くよう要望して、私の質問を終わります。

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