県議会質問

2018年12月11日

水道法の一部改正に伴う本県の対応について

 次の項目は、「水道法の一部改正に伴う本県の対応について」であります。

 政府は、
①人口減少社会の到来
②上水道の管路等の老朽化の進行・更新の遅れ
③自然災害による水道被害の多発
④水道事業に携わる職員数の減少
という国内情勢を受け、2017年1月に開会された「第193回通常国会」に『水道法改正案』を提出しましたが、この国会では審議入りできず、審議未了廃案となりました。

 その後、同年秋の「第194回臨時国会」で再び法案が上程されましたが、その日の午後に、衆議院が解散されたため、同法案は審議入りすらせずに、完全に廃案になりました。

 そして、本年1月召集の「第196回通常国会」に同じ内容の法案が提出されました。衆議院では、衆議院厚生労働委員会で審議入りし、本年7月4日に委員会での審査を終えて、7月5日に与党の賛成多数で可決し、参議院に送られていました。

 しかし、「第196回通常国会」でも審議未了、「継続調査」とされ、本年秋に開会された「197回臨時国会」に閣法として参議院に「水道法の一部を改正する法律案」が提出されていましたが、12月5日可決し、12月6日衆議院本会議にて採決が行われ、可決しました。

 今回の『水道法改正』では、自治体が公共施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却できる「コンセッション方式」というのがクローズアップされています。

 この「コンセッション方式」については、2011年6月に『民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律』いわゆる『PFI法』が改正され、「公共施設等運営権」という権利が新たに創設されたことにより、自治体が公共施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却できる、すなわち「コンセッション方式」が導入されたわけです。 


 そこで、知事にお聞きします。この「コンセッション方式」では、具体的にどのような公共施設が対象となるのかお答えください。

【小川知事答弁1】
○ コンセッション方式は、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」いわゆるPFI法に基づき、施設の所有権を公共主体が有したまま、運営権を民間事業者に設定する方式で、利用料金の徴収を行う公共施設等が対象となる。
○ 具体的には、PFI法第2条に規定する、空港、水道、下水道等の公共施設、賃貸住宅、教育文化施設等の公益的施設などが対象となる。

 この間、日本の公共サービス分野では、欧米のように運営権を民間事業者に設定して事業を実施させる事業実施形態、法制度はこれまで存在していませんでした。

 今回の『水道法改正』では、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、5つの柱が示されています。

 そのうち、具体的に、都道府県の責務、講ずるべき措置については、一つには「水道事業者間の広域連携の推進」と、もう一つが「コンセッション方式」の仕組みを活用し、水道事業について公共施設等運営事業を実施する権利として水道施設運営権を設定し、民間事業者による水道の管理・運営を可能にするというものです。 

 すなわち、全国的に水道施設の老朽化が言われて久しいところであり、長寿命化等の水道事業関連資産の適正な管理を行うとともに、官民連携を通じて民間の資本も活用しつつ施設の更新、運営等を行うことができるようにするということです。


 このような経過を踏まえ、知事に質問します。
 県として、県内市町村及び水道事業者の経営状況をどのように把握しているのか、お聞かせください。

【小川知事答弁2】
○ 県では、毎年度、総務省の「地方財政状況調査」及び「地方公営企業決算状況調査」により、市町村の財政状況及び水道事業の経営状況の報告を求め、把握を行っている。
○ 平成29年度の報告によると、全ての水道事業において資金不足は生じておらず、良好な経営状況にある。
 一方で、人口減少が進むなか、利用者が思うように増えないことなどを理由に、給水にかかる費用を料金収入で賄いきれず、市町村の一般会計から水道事業の損益勘定に繰入をしている例がある。29年度は2市2町あるが、当該市町村財政は健全化判断比率の基準を満たし、健全な財政を維持している。
○ 県では、これらの市町の水道事業者に対し、適切な料金設定、料金収納率の向上等による収入の確保、施設管理の委託化、漏水対策による費用の削減など、経営の健全化に向けた助言を行っているところである。

 その上で、水道事業の経営が自治体財政を圧迫させるような実例があるのかないのか。あるとすれば、県はどのような指導並びに相談、協議を行っているのかお聞かせください。

 今回の改正案では、経営悪化が懸念される水道事業の基盤強化が強調され、水道を運営する自治体などに適切に資産管理を求め、事業を効率化するために広域連携を進めるとともに、官民連携の推進を図る施設運営権制度が導入されたことから、「水道事業の民営化」が大きくクローズアップされ、国民、県民の間に「水道が民間に売り渡される」という不安の醸成に繋がっています。

 水道事業のポイントは、今後も安価で、安心、安定して水を供給し続けることのできる水道事業をいかに永続していくかというとこにあり、今回の『水道法改正』もこうした主旨での議論であるはずだったと思います。

 今後の水道事業にあたり、営利を求める民間事業者が受託することのできる公共施設運営権の導入は、自治体が導入を判断し、厚生労働省又は県の許可を受けるとされています。


 そこで知事にお聞きします。
 今回の『法改正』の柱の一つである「広域連携の推進」について、本県としてどのような措置を講じるのか、お示し下さい。

【小川知事答弁3】
○ 人口減少に伴う料金収入の減少、施設の老朽化に伴う対策費用の増大など、水道事業の経営の悪化が懸念されるなか、将来にわたって水道事業者が持続的・安定的に水道を供給していくためには、水道の経営基盤の強化が必要である。
 水道の広域連携の推進は、そのための有効な方策の一つであると認識している。
○ 広域連携については、これまで、ブロック毎の検討会の開催や個別の協議を通じて、広域連携に向けた具体的検討を行うよう、各水道事業者に促してきたところである。
 その結果、田川地域においては、田川地区水道企業団とその構成団体である1市3町が、平成31年度に統合する予定である。
○ 今回の水道法の改正により、都道府県に広域連携推進の努力義務が明確化されたところであり、今後とも、田川地域の広域化をモデルケースとして、広域連携の動きが他の地域にも拡がっていくよう、水道事業者に対し、助言や支援を行ってまいる。

 これまで、「コンセッション方式」については、下水道では今年4月に浜松市が初めて取り入れ、「ヴェオリア社日本法人」などが参加する運営会社が、20年間の運営権を25億円で手に入れています。

 水道ではまだゼロということですが、今回の『法改正』により、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者が受託できる仕組みが選択肢として導入されています。

 そのことが、「水道民営化」というステレオタイプ的な報道とも相まって、「公共施設等運営権」を受託した民間事業者は、自治体が技術や知識を失ってしまう中で、詳細な経理状況を開示せず、収支不足を理由に施設の維持修繕、改築更新を行わずに利用料金の値上げを迫るのではないか、過疎地の水道は切られてしまうのではないかといった住民不安につながっていると考えます。

 したがって、自治体並びに水道事業者は安易に「コンセッション方式」を選択するのではなく、まずは多様な広域連携による事業継続を模索することが住民の不安の解消や安心・安全・安定的な水道事業運営に繋がると考えます。


 そこで、知事にお尋ねします。
 今回の『法改正』の肝ともいえる部分は、まさに「コンセッション方式」にあると思いますが、この「コンセッション方式の導入」について知事の認識をお聞きします。

【小川知事答弁4】
○ 水道事業者が水道施設の所有権を所有したまま、運営権を民間事業者に設定するコンセッション方式については、民間事業者の経営上のノウハウや技術的能力を活用することにより、質の高い公共サービスの提供が可能となるなどの効果が期待されることから導入されたものである。
○ 水道事業へのコンセッション方式の導入は、経営の悪化が懸念される水道の基盤強化を図るために設けられた制度であり、水道事業者の選択肢を拡げるものであると考えている。

【要望】
 最後に、知事に一件、要望致します。

 今回の『水道法改正』は、人口減少社会が背景にあるということを示しました。
 人口減少に伴い、
〇日本の人口変動に対応して、有収水量は2000年をピークに減少に転じ、2040年には 有収水量がピーク時より約4割減少、約100年後にはピーク時より約7割減少。
〇水道事業は、独立採算制を旨としており、原則水道料金で運営されているが、人口減少に伴い給水量が減少し、水道事業の収益が減少することによって水道事業の経営状況は厳しくなってくる。
〇経営状況の悪化により、施設の更新など必要な投資が行えず、老朽化が進行する。
〇また過度なコスト削減に伴う水道職員の削減による体制の弱体化により水道施設の維持管理が困難となり、漏水等の事故が増加するなど、水道サービスの低下が懸念される。
ということが予想されるわけです。

 私は、前段の質問で、人口減少が進む地方都市においては、都市の中心市であっても「まちの低密度化」、「都市のスポンジ化」が進んでいることを指摘しました。

 そうした中で、郊外の住宅地、中山間地、限界集落と言われる地域においても、そこに一軒でも、一人でも居住者がいる限り、自治体として上水道を通さなければならないという使命があります。そうした行き届いた公共サービスがあってこそ、私たちは「日本に生まれ住んで良かった」、「日本は素晴らしい国だ」ということを実感するわけです。

 安価で、安心、安全、安定的な水の供給という地域公共サービスを守るためにも、今回の『水道法』の改正が地方や過疎地域の切り捨て、水道事業の安易な民営化につながらないよう、県として、県内の水道事業をしっかり守っていくという強い決意で今後も取り組んで頂くことを強く要望し、私の質問を終わります。

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