県議会質問

2018年10月5日

【総括質疑】
少年非行での事件後の少年更生の取り組みについて

 この間、私は、保護観察所の職員、更には「福岡少年院」の院長からもお話を聞く機会があり、そのとき、ご指摘頂いたのが、「学校側が退学という懲戒を行なわず、少年非行を起こした子供たちが、その後、学校に戻ったとしても、自分に負い目を感じている上に、周りの学生の反応とか、学校側の対応とかによって、学校に居ずらさを感じ、結果として自主退学の道を選んでしまうという子どもたちは少なからずいる。」ということを聞きました。

 先ほども申し述べましたが、少年非行を起こしてしまった少年が、その後、更生し、社会参画を果たし、社会でしっかり生きていくためには、高校を卒業する、卒業させる、高校卒業という資格を得ることはとても大切なことだと思います。

 そのためには、学校側が少年を受け入れて適切な指導をしてくれる。更に、学校に居ずらさを感じさせないような対応ができるかどうかにかかっています。

 そこで、高校教育課長、私学振興課長にそれぞれお聞きします。

【高校教育課長、私学振興課長:質問2】
 少年非行を起こしてしまった少年たちの、その後の更生にあたり、高等学校を卒業するか、否か、その後の人生に大きな影響を与えると思いますが、その点について、高校教育課長、私学振興課長は、それぞれどのような認識をお持ちなのか、お答えください。

【高校教育課長:答弁2】
 高校は義務教育ではございませんが、就職や資格取得にあたりましては、高卒資格がその要件になっているものが多くございます。そのため、生徒が将来の夢を実現し、その選択肢を拡げるためには、やはり必要なものであろうと考えます。
また、高校は、単に高校資格を得るための場ではなく、集団生活の中で規律を守る態度や他者への思いやりなど、心身ともに発達途上にある生徒にとって、大変有意義な価値観を培う場所でもあると考えます。

【私学振興課長:答弁2】
 高等学校で学習することは、生涯に渡って必要な学びの基礎を培うことができ、卒業することにより、高等教育機関へ進む道が開けるとともに、就職の求人についても選択肢が大きく広がるものと認識しております。
 そうしたことから、高等学校での修学を希望する者が学業を継続できることは、大変有意義であると考えております。

【高校教育課長、私学振興課長:質問3】
 少年非行を起こしてしまった少年が、県立高校、そして私立高校で自主退学の道を選ばない、卒業まで頑張る、そのための学校側の生徒やご家族に対する支援について、高校教育課長、私学振興課長、それぞれどのような取り組みを行っているのか、お聞かせください。

【高校教育課長:答弁3】
 個別の事案によりまして、対応は異なりますが、まず、県立高校では、非行を起こした生徒が、引き続き在籍校での学習を望む場合には、保護者や保護司等の関係機関と連携しながら、校内の支援体制を整えまして、卒業やその後の進路が実現するように、しっかりサポートして参ります。
 また、在籍校の学習が困難な場合でも、学びの継続を学校として生徒に勧め、生徒の意向に沿って、希望する学校への転校の手続きを行っております。
また、やむを得ず退学となる場合でも、再度の高校入学や就職のための各種相談窓口を記載した進路支援カードを配付し、次のステップを支援して参ります。また、それと同時に退学後1年間は、担任が連絡をとりまして、生徒の相談に応じております。
【私学振興課長:答弁2】
 私立高校では、生徒が非行を起こしてしまった場合でも、退学相当でないと校長が判断した場合には、在籍させたまま指導を継続させ、更正と再犯防止に努めているところでございます。
 また、起こした非行が知られることで居づらさを感じるなどにより転学を希望する場合や、やむを得ず退学となった場合でも、生徒や保護者からの相談に応じて、転入学や編入学によって高校卒業を目指し、学業を継続させるなどの支援が行われているところでございます。

 今回の質問を行うにあたり、「福岡少年院」の斉藤院長よりいろいろお話を聞かせて頂き、アドバイスを頂きました。

 その中でお話しされたのが、「少年院に来る子は、それまでに何度も補導・検挙を繰り返し、その結果、少年院送致となったり、自立支援施設に入所したり、保護観察の処分ということになる。こうした過程の中で、少年院に来た時には高校を中退している子が多い。

 しかし、全日制の高校に在学している、いわば席を置いたままの生徒もいる。その場合は、院にいる間は休学となり、出院もしくは仮退院した後、高校に復学となる。

 こうした生徒の、少年院でのスクーリングは大変に重要であり、必要であるが、全国の少年院で高校授業をやれるのは1院しかない。

 したがって、復学した後の生徒のフォローアップは公立・私立を問わず、学校現場の対応は極めて重要である。」と話されていました。

 少年非行を起こしてしまった少年たちの更生、立ち直りを現場で取り組まれている警察、児相、保護観察所、少年院、自立支援施設。そして、保護司、少年補導員、ボランティアの方々の願いは、少年事件を起こしてしまった少年たちの更生であり、再犯防止であり、社会参加であります。

 したがって、こうした方々の願いも含め、県を挙げ、まずは非行少年を生まない社会づくりを進め、非行少年の立ち直りに取り組まなければなりません。

【吉田副教育長、野田私学振興・青少年育成局長:質問】
 吉田副教育長、野田私学振興・青少年育成局長にそれぞれお聞きします。

 少年非行を起こしてしまった少年の更生、再犯防止、社会参加について、県の対応を進めるにあたっての決意についてお聞きします。

【吉田副教育長:答弁】
 少年非行を起こした生徒に対しましては、まずは、その非を自覚させ、厳しく指導する一方で、共感的に理解し、カウンセリング・マインドに基づき指導することで、自己の在り方や生き方を深く考えさせ、自己決定する能力や態度を育成するといったことが大切であります。
 そして、少年非行を起こした生徒は、将来に希望を持てず、投げやりになりがちでございます。このため、その次の段階として、各学校において、学級活動や学校行事等で活躍できる場を設けたり、また一生懸命打ち込めるものを見つけさせたり、そういったことによって自己存在感を実感させ、他の生徒から承認される存在となっていくような取組が重要となってまいります。
県教育委員会といたしましては、こうした考え方のもとに、今後とも、「我が校の生徒」という意識で根気強く生徒と向き合い、生徒の更生を助け、卒業後も自立した社会人として立派に成長できるよう、愛情を持って接してまいりたいと考えております。

【野田私学振興・青少年育成局長:答弁】
青少年が自立した大人として成長していくことは、県民すべての願いであり、そのためには、家庭、学校、地域、企業、行政が連携し、大人社会が一丸となって青少年を育んでいくことが必要です。
 たとえ少年非行を起こしたとしても、しっかりと反省し、立ち直ろうとする少年に手を差し伸ばし、自立を促すことは、再犯を防ぐ観点からもとても重要であると考えております。
 学業の継続支援につきましては、私立高校におきましても、先ほど課長が答弁しましたとおり、可能なかぎり、生徒を在籍させ、更生と再犯防止に努めていただいているところです。
 一方で、少年の立ち直りにつきましては、学校だけでなく、周りの大人が親身になって少年に関わっていくことが必要であるというふうに考えております。
 このため、県では、平成24年度から保護観察所、警察、市町村、協力雇用主企業、NPOなどと連携いたしまして、非行少年等のための居場所づくりや、自尊感情を高めるための社会奉仕活動、さらには、進路指導から就職後の定着まで一貫した就労支援など、少年に寄り添った立ち直り支援に取り組んでいるところでございます。
 委員からご紹介がございました、係わっていただいている関係者の皆さまは本当に熱心に、また、親身になってご対応いただいており、感謝をしているところでございます。     
 雇用により、これまで140人以上の非行少年の立ち直りを支援してこられました福岡県協力雇用主会会長の野口義弘さんも、「反省は一人でできても、立ち直りは一人でできない。人間は必ず更生して立ち直る要素を持っている。」というふうにおっしゃっていただいております。少年の立ち直りには周りの支えが必要です。
 県といたしましても、引き続き、関係機関や地域団体、企業の皆さまのご意見を伺い、ご協力を得ながら、非行少年の立ち直りや、再犯防止に努めてまいります。

 以上で質問は終わりますけれども、県警、そして、県あげて、非行少年の立ち直り、そして、更正について取り組みを進めていただきたいと思います。

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