県議会質問

質問日:2017年3月17日(金)

農林水産部:「福岡県周辺海域の環境変化と漁業への影響について」

 民進党・県政クラブ県議団の原中誠志です。発言通告に従い、「気象変動と漁業への影響について」質問します。

 これまでの県議会でも、気象変動と漁業への影響について、何度かやり取りがあっていますが、2015年11月の「COP21」での『パリ協定』の採択。そして、昨年11月の「COP22」及び「第12回京都議定書締約国会合」など、気候変動に関する国内外の動向も受け、今回、改めて「気象変動と漁業への影響について」質問致します。

 まず、2013年9月に公表された気候変動に関する政府間パネルの報告書によりますと、気候の温暖化には疑う余地がなく、その原因が人間の活動による影響が大きいことも指摘されています。

 海水温については、「気象庁地球環境・海洋部」の発表によると、日本近海では、過去100年間に、およそ1.07℃上昇しており、これは、世界全体の上昇率の0.52℃と比べて大きくなっていると報告されています。

 たかが、1℃ではありますが、一説では、魚にとって1℃の海水温度の変化は、我々人間にとって10℃の気温変化に相当すると言われています。これを考えますと、水産資源に悪影響がでているのではないかと心配するところであります。

 先週でありましたか、新聞記事において、海水温の上昇で、もともとブリがあまり獲れなかった北海道で、大量に漁獲されていることが掲載されていました。

—問1
 そこで、質問です。
 いま、日本周辺の海水温の変化について述べましたが、やはり気になりますのが、本県の状況です。筑前海、有明海、豊前海の海水温の長期的な変動は、どういう状況になっているのか、お伺いします。

【漁業管理課長答弁】
 直近30年の本県沿岸域の年平均水温をみますと、筑前海、有明海、豊前海ともに、約1℃上昇しています。


—問2
 ここ30年で、水温が1℃ほど上昇しているとのことですが、もっと詳しく、例えば、季節別にみると、どのような状況なのか、お答えください。

【漁業管理課長答弁】
 いずれの海区においても、夏期の水温上昇よりも、冬期の水温上昇が顕著な状況であります。


—問3
 私たち子供のころと比べても、まさに肌感覚で言っても、冬が暖かくなっていると感じます。海水温が高くなっているのも、地球温暖化の影響を受けての事ではないでしょうか。見解をお聞かせください。

【漁業管理課長答弁】
 水温上昇の要因については、温暖化の他にも、地球全体で言いますと、数十年周期での自然変動も影響していると言われています。また、対馬暖流の勢力の変化なども影響するため、本県沿岸の海水温の上昇がすべて地球温暖化の影響とは言いがたいと考えます。


—問4
 たしかに、水温の上昇は、気象の変動に加え、先ほど答弁のあった自然変動、これには、マスコミ報道等で良く耳にしますエルニーニョやラニーニャもこれにあたると思いますが、そういったことも影響するということです。

 とはいえ、実態として、本県の海水温が上昇していることで、漁場環境の変化、例えば、筑前海の藻場の状況に変化はないのか、お聞きします。

【漁業管理課長答弁】
 県では、筑前海において、毎年、海藻の種類や生息量を調査しておりますが、ほとんど減少しておりません。
 しかし、一部の藻場では、ウニの食害によって、海藻の生息密度が低下していることから、県では、海藻が根付く自然石の投入を実施するとともに、漁業者が行う、ウニ、食用にならない「ガンガゼ」という種類ですが、その除去や海藻の種の投入に対して支援を行っています。この結果、新たに海藻が芽生え、その量が増加し、ウニの生息密度も低下してきております。


—問5
 藻場の話はわかりましたが、漁獲量などに変化はないのか、お答えください。

【漁業管理課長答弁】
 漁獲量につきましては、二枚貝類など資源変動が大きなものを除きますと、ここ10年間ほどをみますと、ほぼ横ばいの状況です。


—問6
 漁獲量には変化がないとのことですが、獲れる魚種が変わってきたなどの状況はないのでしょうか、お答えください。

【漁業管理課長答弁】
 水産資源は、長期的な資源変動や漁獲圧、餌の状況などによって量や種類が変化するので、一概に水温の変化による影響とは言い切れませんが、近年の特徴的なことでいいますと、一般的に高水温を好むと言われているサワラが増えたり、沖縄の県魚である「タカサゴ」、グルクンと呼ばれる魚ですが、これが漁獲されたりしております。


—問7
 獲れる魚種が変わってきていると言う事になりますと、それに合わせて、漁業も変わってきたのではなかいと思いますが、どのように変化しているのかお伺いします。

【漁業管理課長答弁】
 象徴的な事で言いますと、巾着網で獲れていたカタクチイワシ、いりこの原料でありますが、これが、ほとんど獲れなくなっております。このため、巾着網に替わる漁業として、カキ養殖業を提案し、その転換が図られているところです。


—問8
 魚種の変化や漁業種類の転換、そういった現状がある中で、将来的に、魚種にどのような変化が生じると考えられるのかお伺いします。

【漁業管理課長答弁】
 このまま水温の上昇が進みますと、より高水温を好む魚種が増えていくことも予想されます。


—問9
 そのような変化が予想されるのであれば、漁業そのものを、資源に合わせる。そういった準備も必要ではないかと考えますが、見解をお示し下さい。

【漁業管理課長答弁】
 魚種が変わっていく事は想定されますが、具体的にどの魚種が増え、どの魚種が減少するかについては、予測が難しい状況にあります。

 しかしながら、本県の場合、資源が変動しやすい天然ものを対象としていることから、元々、多くの魚種を様々な漁法で漁獲するといった、いわゆる「少量多品種型」の生産を行っているという特性があります。

 つまり、漁業者は、複数の漁業種類を組み合わせ、その年々の魚種の資源状況に合わせた操業を行っていることから、魚種が変わったとしても、ある程度、その変化に対応できるものと考えております。


—問10
 それは、あくまで対処療法であり、しっかりとした将来予測に基づいて、それに向かって準備をしておく。そういった対応が必要ではないかと考えますが、県としてどのように考えておられるのか、お答えください。

【漁業管理課長答弁】
 先ほども申しましたが、魚種の変化について、予測が難しい状況であります。このため、対処療法的ではありますが、変化した魚種を如何に漁獲し、利用していくか、これが重要であると考えます。

 一方で、獲ることもさることながら、やはり、漁業の経営をしっかりしたものにするため、今後とも、漁業コストの削減、漁獲物の魚価向上対策、こういった指導に努めて参りたいと考えている。


—問11
 例えば、農業の場合、高温耐性のある品種を作っていくことなどで対応していると聞いております。

 本県の水産物の場合、天然の資源を利用していることで、そういった対応が困難である事は理解できますが、水温の変化を始め、例えば、超大型台風や局地的な豪雨の多発といった、昔と比べ、気象も大きく変化しているなかで、漁業者の不安もあると思います。

 自然の事とはいえ、県としても、知恵を絞り、できる限りの手を尽くしていく必要があるのではないでしょうか。

 そこで、気象変動など、様々な要因で変化しつつある漁業資源でありますが、こういった変化に対し、どのように対応されようとしているのか、水産の専門家であります水産局長に、その決意のほどを伺います。

【水産局長答弁】
 漁業資源の変化に対し、的確な対応を行っていくため、まずは、水温や塩分、藻場の状況などの漁場環境の変化を把握すること。また市場に水揚げされる漁獲物の状況や、漁業者からの情報収集などによって、魚種の変化を迅速に捉えること。こういったモニタリングを継続して行っていくことが重要であると考えます。

 先ほど、課長が答弁しましたとおり、今の技術においては、将来、魚種がどう変化していくのかを予測することは、大変、難しいところではありますが、モニタリング結果から、その兆候を見極め、漁業種類を転換することを提案するなど、本県漁業者の経営安定に努めて参りたいと考えております。

 漁業者は、千変万化する自然と、つねに真っ正面から向き合って、戦っておられます。

 このことを考えますと、モニタリングはもちろんですが、漁業者の不安を少しでも和らげるためにも、資源の変化が予測できるように、県としても技術を高めることが必要であると考える。

 今後とも、技術の研鑽に努められ、漁業者に対し、きめ細かな指導に努められることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせて頂きます。

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