Ⅱ 視察報告
3.「学校法人延暦寺学園 比叡山高等学校」(滋賀県大津市坂本4-3-1)
次の視察先は、「学校法人延暦寺学園 比叡山高等学校」でした。
(1)「比叡山高等学校」の概要
同学園が生まれたきっかけは、伝教大師「最澄上人」が788年(延暦7)に「延暦寺」を開設された時までさかのぼるそうです。
最澄は入唐帰朝後の818年(弘仁9年)、山家学生式の学則を制定し、厳しい精進と体験をもとに、宗教の実践と、その指導的な立場に立つ人材の育成を目標としました。
その際、「国宝とは何物ぞ、宝とは道心なり、道心ある人を名づけて国宝となす」とし、また『「己を忘れて他を利する」人、「一隅を照らす」人、「能く行い能く言う」人を国宝となす』という教育理念を樹立しています。
同学園が「天台宗総黌」として創立された1873年(明治6)から現在まで、この建学の祖・伝教大師の精神が受け継がれ、基本的な教育理念となっています。
1948年(昭和23)の「学制改革」を契機に、宗門外の一般生徒を募集して以来、“心”を忘れがちな現代社会に対して、“豊かな社会性と謙虚な奉仕の精神に燃える人材の育成”を指針に、独自の教育を進めています。
① 沿革
- 1873年(明治6) 天台宗総学として比叡山頂に設置
- 1948年(昭和23) 高等学校設置
- 1951年(昭和26) 学校法人 延暦寺学園設置
(2)現地対応者
- 延暦寺学園 校長
- 松村 実 氏
- 延暦寺学園 常任理事 学園長・事務局長
- 佐々木 光澄 氏
- 比叡山高等学校・比叡山中学校 副校長
- 水田 博之 氏
- 延暦寺学園 事務局次長
- 塚本 博一 氏
(3)現地視察
①教育目標
「延暦寺学園」の教育目標は「掃除」、「挨拶」、「学問」とされています。
学園生活の基本として、僧侶の実践目標である『掃除』『看経』『学問』を取り入れ、「掃除」、「挨拶」、「学問」を重視しており、毎日の学習環境を整えるため、一日の始まりである朝礼と共に、清掃活動とお互いのあいさつを徹底して指導されてます。人間性を高める取り組みが進められています。
②「延暦寺学園」の特色ある学校運営
(4)まとめ
市立の学校運営は厳しいといわれる中、「比叡山高校」の入学者は毎年1,000名を超え、安定して生徒確保が出来ています。
これは、同校の歴史と伝統に依るところが大きいことと、とりわけ生徒指導に力を入れ、人間性の育成に取り組んでいることがご父兄にも、教育関係者にも評価されていることだと思います。また、コース別の進路についても、生徒個々人のコースやテーマに合わせてしっかりとした個別指導をおこなっており、そのことが大学進学にも如実に表れています。
さらに、部活動にも力を入れており、硬式野球部の甲子園出場をはじめ、女子ソフトボール、バドミントン部女子は全国屈指の強豪校であり、例年好成績を誇り、全国から部活入部を希望して入学する生徒も多いそうです。
同学園の今後益々の活躍に期待したいものです。