Ⅲ 視察報告
2.札幌市「札幌ドーム」視察
次の視察先は札幌市「札幌ドーム」でした。
(1) 「札幌ドーム」建設経過
札幌市「札幌ドーム」 札幌市が「札幌ドーム」建設を決定するきっかけとなったのは「2002FIFAワールドカップ大会」です。
この大会に向け、札幌市ではサッカーワールドカップの試合を札幌市に誘致するため、「ドーム球場」の建設を計画、1992年7月に「2002FIFAワールドカップ大会」の開催地に立候補しました。
1993年1月、「2002FIFAワールドカップ日韓同時開催」が決定、1996年1月に「札幌ドーム」の建設を決定しました。
1997年2月、設計技術コンペの結果、原広司グループ案に決定、1998年6月にドーム建設に着工。1998年10月に「株式会社札幌ドーム」設立、1999年10月に「札幌ドーム条例」施行、2001年5月に竣工、2001年6月から開業となっています。
(2) 「札幌ドーム」の施設
①施設概要
- 総工費
- 総額:537億円(建設費用:422億円、土地代:115億円)
- 施設構造・階数
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造、地上4階地下2階
- 屋根
- 形状:固定式シェル(貝)型屋根。大きさ:最長部245m、表面積:53,000m2
- フィールド
- ■サッカー:天然芝移動式サッカーフィールド「ホヴァリングサッカーステージ」
- 縦120m×横85m×高さ1.38m
- ■野球:人工芝、両翼100m センター122m 左右中間116m
- ■サッカー:天然芝移動式サッカーフィールド「ホヴァリングサッカーステージ」
- スタンド
- シングルスロープスタンド(すり鉢状一層式)。固定客席数:41,484席、最大収容人数:53,738人(野球時収容人数:42,270人、サッカー時収容人数:41,983人)
②「札幌ドーム」は、開業当初よりサッカー「北海道コンサドーレ札幌」のホームスタジアムとなっていましたが、2004年には「北海道日本ハムファイターズ」を迎え入れ、プロ野球の本拠地にもなり、サッカー・野球2つのプロチームの本拠地となりました。
サッカーと野球2つのプロチームの本拠地となっており、試合によってドーム内のスタジアムをサッカー用と野球用とに切り替えるという、世界でも稀なスタジアムとなっています。
更には、「2007年ノルディックスキー世界大会」では、世界で初めて屋内と屋外を縦断するコースが創出されたり、ラリー選手権なども開催されています。また、最大5万人を超える大規模なコンサートが開催されたり、ドームのスケールを生かした様々な演出で、インパクトあるエキシビジョンやセレモニーも多数開催されています。
(3)当日の対応者
・株式会社札幌ドーム
総務課長 武岡 淳
・札幌市スポーツ局
スポーツ部企画事業課
振興係長 山元 耕平
(4)施設内見学
サッカーで使用するのは「ホヴァリング・サッカーステージ」といわれ、縦120m、横85m、重さ8,300tの巨大な天然芝のステージが、空気圧によって7.5cm浮上し、34個の車輪を使い分速4mで移動。ドーム内に入り、屋内でのサッカー試合が可能となっています。
試合の無い時は、屋外のオープンアリーナで良好な芝を育成されています。
↑屋外に常設されている天然芝のホヴァリング・サッカーグランド(左:冬、右:夏)
札幌ドームでは、野球モードからサッカーモードへの転換を「場面転換作業」と呼んでいます。
野球場として使用
人工芝の巻き取り作業 ①
人工芝の巻き取り作業 ②
コンクリートモード ①(コンサート・展示会が開催される場合はこの状態で設営作業が行われる)
コンクリートモード ②
サッカーのメインスタンドとなる
(5)まとめ
「2019ラグビーワールドカップ日本大会」の開催都市・試合開催会場は12都市、12会場となっています。
このうち、南アフリカやニュージーランド、イングランド、そしてジャパンなどの人気カードについては、チケットの販売も入場者も多いと見込まれることから、4万人以上収容できるスタジアムでしか試合が行われないといわれています。
「札幌ドーム」の収容者数は、野球時で42,270人、サッカー時で41,983人と、どちらも4万人を超えており、人気カードを呼べるスタジアムとなっています。
札幌市、株式会社札幌ドームでは、「2019ラグビーワールドカップ日本大会」に向け、「ホヴァリング・サッカーステージ」にラグビー用のポールが立てられるよう、現在、検討を行っているということです。
これに対し、本県の東平尾公園の「レベルファイブスタジアム」(博多の森球技場)は、収容人員22,563人でしかなく、「2019ラグビーワールドカップ日本大会」の開催会場になっているものの、ジャパン戦や人気カードの試合は誘致が厳しいのが現実です。