県議会質問

Ⅱ 水害に備えた本県の広域避難等について

2.本県管理河川の改修と安全対策について

 次に、本県管理河川の改修と安全対策についてお聞きします。

 今回、鬼怒川で決壊した堤防箇所は、国土交通省が10年に1度の大雨に耐えるため、堤防のかさ上げや拡幅工事を行う予定箇所でもありました。

 そこで、お尋ねします。
 まずは、県が管理する河川の改修についてです。
 県が管理する河川は334河川ありますが、河川管理者としてどのような考えに基づいて河川改修を行っているのか、また、現在どのくらいの箇所と延長において改修を実施しているのかお聞きします。

【知事答弁】

  • 本県の管理する河川の改修については、過去の浸水被害、流域の家屋などの集積状況や人口などを勘案し、改修の優先度が高い河川から実施している。
  • 河川の改修については、災害の防止、費用対効果など総合的に勘案して、河川の断面をどの程度拡大するかといった、改修の規模を定め実施している。
  • こうした考えに基づき、現在、53河川、約274kmについて、改修を実施しているところである。

 次に、近年の降雨状況に対応した河川改修についてです。

 今回の9月鬼怒川では、10年に1度の洪水に対応した改修を行っていたにも関わらず、大きな洪水被害が発生しました。

 近年の降雨状況を踏まえますと、本県が管理する河川についても、もっとも大きな洪水に対応した改修を行うべきと考えますが、知事の見解をお尋ねします。

【知事答弁】

  • 河川の改修においては、改修規模を大きく設定した場合、事業費が増加することとなり、整備にも長期間を要することとなる。このため、限られた予算の中で、早期に整備の効果が発揮できるよう、費用対効果等を総合的に勘案して改修の規模を定め、事業を実施しているところである。
  • また、こうした河川の改修によるハード対策と併せて、災害時の避難行動や水防活動が適切に実施できるよう、浸水想定区域の公表や河川の水位情報の提供といったソフト対策にも取り組んでいるところである。
  • 現在、国では、鬼怒川等で発生した大規模水害を踏まえ、今後のハード対策のあり方も含めた治水対策について、検討を行っている。本県としては、今後明らかになる国の検討結果も踏まえて、県管理河川について適切に対応していく。
  • 今後とも、治水面の安全向上に向けて、ハードとソフト両面の対策を総合的に進めていく。

 次に、本県のビッグデータを活用した災害対策についてお聞きします。

 福岡県は、これまで震災による被害の少ない県と言われてきました。ところが、2005年3月20日、福岡県北西沖の玄界灘を震源として、マグニチュード7.0、最大震度6弱の地震が発生しました。いわゆる「福岡県西方沖地震」であります。

 この地震では、震源に近い福岡市西区の玄界島で住宅の半数が全壊する被害のほか、福岡市内の広域にわたり、揺れによる大きな被害が出ました。

 そして、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」では、関東圏でJRや地下鉄がストップし、公共交通機関のマヒによる515万人の帰宅困難者が発生、また極めて深刻な道路渋滞を招くなど、首都圏は大きな混乱に見舞われました。

 その後、この「東日本大震災」の経験と教訓から、産官学が連携し、震災などの災害発生時の膨大な電子情報、すなわちビッグデータを活用し、これからの災害対策に生かしていくという動きが加速しています。いわゆる「震災ビッグデータ」です。

 「震災ビッグデータ」とは、震災発生時、人々の持つ携帯電話や乗用車のカーナビの情報、警視庁から提供される幹線道路上の車両感知器の情報、消防車・救急車の出動記録、タクシー会社や運送会社から提供される情報、支援物資の物流情報のほか、自衛隊の出動記録、ツイート情報などを言い、「震災ビッグデータ」の活用とは、これらの膨大な情報データを災害発生時に瞬時に入手し、それを的確に分析することで、災害が発生したとき、都心部や災害エリアにどれくらいの人々が居るのか、また、どのような行動をとっているのかなどを把握するとともに、行政として、公共交通機関、道路状況、避難所の場所などを含め、災害情報を速やかに、的確に伝えるというものです。

 この「震災ビッグデータ」は、いまでは震災のみならず、噴火や洪水などの自然災害にも役立てようと、様々な研究がなされています。震災ビッグデータが生み出す知見をできる限り多くの人々に伝え、そのことで多くの人の命を救うことになり、それが今の時代にできる防災対策ではないか思います。

 福岡市内では、昼間人口が夜間人口の1.7倍を超える地区があります。すなわち都市部の定住者については、日ごろから防災訓練、避難所などの災害対策情報が提供されていますが、昼間、通勤、通学、買い物、旅行などで都市部へ来られた方々へ、災害発生時、どのように災害に関する情報を伝達し、避難を指示するか、課題です。

 そこで、本県としても、ビッグデータを活用した災害対策が必要と考えますが、知事の基本的な考えをお示し下さい。

【知事答弁】

  • 携帯電話の位置情報やソーシャル・ネットワーキング・サービスの情報などのいわゆるビッグデータについては、様々な分野での利活用が期待されている。
  • 国では、民間事業者の協力を得て、
  • ① 携帯電話やカーナビなどの位置情報から混雑状況を把握し、帰宅困難者の避難誘導や救援物資の円滑な搬送に役立てる
  • ② モバイル端末を活用し、被害情報の伝達・収集を行う
  • などの実証実験を行っている。
  • 県としては、国の実証結果や民間事業者等の検討状況を注視し、防災分野におけるビッグデータの活用方策について研究してまいる。

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