県議会質問

本県の消費生活相談行政について

 次に、本県の消費生活相談行政について、知事にお尋ねします。
 本県には、「吉塚合同庁舎」内に「福岡県消費生活センター」が、また、それぞれの市町村にも「消費生活センター」など消費者相談窓口が設置されており、県民の消費生活の安定及び向上、消費者の権利の確立など、消費者施策の推進が図られています。

 県内の消費生活センターの3年間の相談件数については、平成24年度が52,270件、平成25年度が56,271件、平成26年度が56,770件と、5万件台で推移しております。

 従来、消費生活相談は、悪質商法による被害。また、「クリーニングのトラブルがうまく解決しない」といった事業者とのトラブル。商品を使ってけがをしたとか、発火した、すぐに壊れたといった商品事故の苦情などの事案がイメージされます。

 しかしながら、全相談件数のうち、アダルトサイトなどデジタルコンテンツの相談件数は、平成24年度が6,932件、平成25年度が6,681件、平成26年度が8,516件となっており、相談の中で、最も高い割合を占めております。

 県の消費生活センターに寄せられた商品等分類別の相談件数を見ると、デジタルコンテンツに関する相談は、若年者のみならず高齢者からも寄せられており、平成26年度は、60歳代の相談件数の第1位、70歳以上でも第2位となっております。

 このデジタルコンテンツに関する相談には、ワンクリック詐欺、アダルトサイトからの請求を止めると持ちかける詐欺、無料SNSサイトから悪質な有料メール交換サイトへ誘導するサクラ商法、コンテンツ総合情報代未納などという架空請求、インターネット・プロバイダー契約トラブル、パソコンとインターネット・プロバイダーとのセット契約トラブルなどが含まれます。

 パソコンやスマートフォンの普及とともに、高齢者を含めたほとんどの世代でインターネットの利用率が年々高くなっており、今後も、同様の傾向が続くと考えられます。

 そのため、本県としては、クリーニングのトラブルなど従来型の相談に加え、デジタルコンテンツをはじめとした情報通信関連の相談など、新たな課題にも対応しうる消費生活相談行政の取り組みが求められているところであります。

 一方で、近年の消費者トラブルは、社会経験と消費生活に関する知識が不足しがちな若年者や、判断力の衰えと身近な相談相手の不在などにより悪質事業者の標的となりやすい高齢者に深刻な被害をもたらしております。
 そこで質問に入ります。まず1点目は、本県「消費生活センター」と関係機関との連携についてです。

 若年者から高齢者まで、幅広い年代の方々を悪質事業者の違法・不当な行為から守ることも、本県消費者行政にとって重要な課題といえます。そのためには、県警察をはじめ、本県教育庁など関係機関と連携を密にし、適切かつ果断な法執行により悪質事業者を取り締まる一方、消費者への適切な教育、社会啓発によって情報提供の一層の充実を図ることが効果的と考えられます。

 そこで、県警察や教育庁などの関係機関と、どのように連携して、悪質商法の取り締まりや消費者啓発に取り組んでいくのか、お聞きします。

[小川知事答弁]

  • 「県消費生活センター」は、悪質事業者に対する迅速な調査・指導等を行うため、平成21年度に、現職の警察官を班長とする「事業者指導班」を設置し、翌年には、県警ОBを配置した。こうした体制の強化を図るとともに、県警察と密接に情報交換を行いながら、悪質事業者に対する指導や行政処分に取り組んでいる。
  • 消費者啓発については、特に被害に遭いやすい若者向けに、教育庁や大学など関係機関と連携し、県内の高校、大学で「消費者トラブルとその対処法」に関する「出前講座」を毎年実施しており、昨年度は、約3万2千人の学生が受講した。また、小・中・高校で、消費者教育を担当する教員を対象とした研修も実施している。
  • 高齢者や一般の消費者向けには、市町村や老人クラブと連携し、「出前講座」研修会で、「県消費生活センター」の職員が、啓発チラシやパンフレット等を配布するとともに、高齢者が陥りやすい悪質商法の手口をはじめ、様々な消費者トラブルの事例や対処法を分かりやすく説明し、注意喚起に努めている。
  • 今後とも、関係機関と連携して、悪質事業者の取締りや被害防止に向けた消費者啓発にしっかりと取り組んで参る。

 2点目に、「福岡県消費生活センター」の機能強化についてです。
 「福岡県消費生活センター」は県内市町村の消費生活センターや相談窓口にとって、まさに「センター・オブ・センターズ」としての位置にあるといえます。
 したがって、「県消費生活センター」で相談業務に従事する消費生活相談員は、一般の県民からの相談だけでなく、市町村の相談員からの相談に応じるという大変重要な役割を担っております。

 近年では、ワンクリック詐欺をはじめ、電話詐欺など、消費生活相談行政は情報通信関連の相談という新しい課題に直面しており、県の消費生活相談員の方々の更なるスキルアップが必要と考えます。

 そこで、知事にお尋ねします。今日、消費生活相談を取り巻く厳しい社会環境の中、県の消費生活相談員のスキルアップをどのように図られているのか、お聞きします。

[小川知事答弁]

  • 消費生活相談員は、金融商品やインターネットなど相談内容が高度化・複雑化するなか、民法など消費者関連法や新たな商品・サービスの知識はもとより、相談者から話を聞き取る能力、事業者と交渉する能力などが求められており、県の相談員のスキルアップは重要な課題であると考えている。
  • このため、県では、弁護士会や大学、消費者庁等から専門の講師を招き、全ての相談員が参加する「消費生活相談員レベルアップ研修」を年8回開催している。また、弁護士や県警職員も交え、具体的な事例から解決方法を学ぶ事例検討会を年6回開催している。
  • さらに、「国民生活センター」が主催する全国規模の専門研修に、毎年、全ての相談員を派遣するとともに、保険、金融など業界団体が開催する研修会にも、積極的に派遣している。
  • 今後とも、新たなタイプの消費者トラブルに迅速に対応できるよう、研修に工夫しながら、相談員のスキルアップに努める。

 知事に1件、要望です。
 「福岡県消費生活センター」の相談員は、非常勤職員であります。時代に即した新しい課題、「センター・オブ・センターズ」としての役割など、その業務は大変重要な任務となっています。したがって、職員の方々の勤務労働条件の改善、報酬の向上については、引き続き配慮されますよう要望申し上げ、質問を終わります。

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