県議会質問

本県の水産業の振興について

質問日:2016年10月27日(木)
質問者:民進党・県政クラブ県議団  原中 誠志 委員
答弁者:農林水産部長、水産振興課長

【原中委員】
 まず、全国的な水産物の流通をみますと、漁業者が港に水揚げしたものが、卸売市場に出荷され、市場を起点として仲卸、小売、消費者という流れが一般的であります。

 しかしながら、全国的な高速道路網の整備や冷凍技術の進歩、また消費地にあってはスーパーマーケット等の多店舗展開、大型化とめざましい変貌を遂げたこともあり、これまで、卸売市場のみに依存していた流通の仕組みが、市場を経由せずに小売店等に流れる、いわゆる「産直」という商流へ変化したことは、皆様ご承知の通りと思います。

 さらに、最近では、これまでの流通段階のすべてを経由せずに、「生産者から消費者へという究極の経路」、いわゆる「直売」の取組みが発達してきました。特にそのコミニュケーションの手段として、インターネットなどの通信手段が発達したということが、この流れに拍車をかけているとも言えます。

 いずれにしましても、こういった変化は水産物に限らず、その時代の要請、つまり消費者の欲求を満たす方向で変化しているのだと考えます。現に、このような流通の変化によって、私たちの生活は飛躍的に便利になった訳であります。

 しかし、これまでの流通経路がすべて消え、「生産者から消費者へ」という図式だけが残るというのでは無いと思います。
 水産物流通の大動脈、道路で例えると主要幹線道路である卸売市場、また、先ほども申し上げましたが、産地と小売店、産地と消費者が直接取引する、様々な流通形態。これらの組み合わせで現在の水産物流通が成り立っており、これを上手に選択していくことが、水産業の振興にとって、大切な事であると考えます。

 そこで、まず、お尋ねします。本県最大の水産物の卸売市場として、福岡市中央区長浜に「中央卸売市場」があります。そこには、本県のみならず、九州を中心に、各地から様々な荷が集まってきているわけですが、その取扱額はどのくらいで、全国でみますと、何番目になるのか。お聞かせください。

【太刀山水産振興課長】
 水産物の卸売市場には、漁港に隣接しまして、直接、水揚げを行います産地市場と、水揚げ機能を持たない消費地市場というのが2つございます。

 「福岡市中央卸売市場」でございますけれども、これは博多漁港に隣接する産地市場でございます。

 福岡市の年報によりますと、平成27年の取扱金額でございますが、479億円で、産地市場としては、3年連続、全国1位となっております。


【原中委員】
 今お示しのとおり、取扱額は全国1位ということでありますが、そのうち本県産水産物の水揚げ金額はどれぐらいの割合で、額としてどれほどになるのか、お示しください。

【太刀山水産振興課長】
 「福岡市中央卸売市場」の水産物の取り扱い金額に占めます、本県の沿岸漁業が漁獲した水産物、この割合でございますけれども、平成27年でございますが、約12%、金額では59億円となっております。


【原中委員】
 昨年度、2015年度、平成27年度の福岡県の農林水産白書っていうのがありますけども、これを見ますと、ノリを除く本県海面の沿岸漁業生産額は約114億円となっているところであります。

 となりますと、本県の沿岸漁業の5割程度が、福岡の中央卸売市場に依存しているということになるわけであります。逆に言えば、残りの5割は、どこか別のところに出荷されているということになりますけども、それらはどこに出荷されているのかお聞かせください。

【太刀山水産振興課長】
 県内の、北九州、または遠賀などの地方の卸売市場に出荷されるほか、地元の直売所に出荷されております。また、カキなどに代表されますように、直接漁業者が、消費者に対して販売を行っている状況にございます。


【原中委員】
 ただいま、直売の話も出されたところでありますけれども、本県では、宗像市の「宗像道の駅」、糸島市の「志摩の四季」など、農産物を含め、多くの直売所があり、これらはどの直売所も土日は大変大勢のお客さんで賑わっているところでありまして、私も何度か足を運ばせていただいたことがあります。

 その中でも、水産物の人気については特に高いようでありまして、本県の漁業者が、このような直売所を利用する割合や本県の漁業者が直売所を利用する割合、さらには販売額はどうなっているのかお示しください。

【太刀山水産振興課長】
 本県の場合ですと、全漁業経営体でございますけども、この経営体のうち、出荷先の一つに直売所を利用する経営体の割合でございますが、約17%でございまして、この割合は、全国一位となっております。

 また、直売所への出荷、または、カキ小屋等の漁業者による直売を含めた売上額でございますが、約30億円となっております。


【原中委員】
 先ほどの「福岡市中央卸売市場」といい、今も述べて頂きました直売所を利用する漁業者の割合、これはともに、「全国一」ということでありますので、大変これについては本当に好ましく、うれしく思っているところであります。

 そして、この30億円の直売額というのは、決して少なくない額と思いますが、この直売のメリットとして、どのようなことが揚げられるのかお示しいただきますとともに、この金額はノリを除く本県海面の沿岸漁業生産額に占める割合、これはどうなっているのか、併せてお示しください。

【太刀山水産振興課長】
 漁業者にまず、漁業者のメリットでございますけども、漁業者にとりましては、自ら漁獲した、生産した水産物を、いわゆる商品として、自ら値段を付け、販売できるというメリットがございます。

 また、消費者の方々にとりましては、地元の鮮度の高い水産物を求めることができるというメリットがあると考えます。
 さらにノリを除く漁業生産額のうち、直売の割合でございますけども、平成26年で、約27%となっております。


【原中委員】
 この漁業生産額の直売の割合が平成26年度ベースですけども、27%ということがありまして、直売所の割合が27%というのはかなり高いなあというふうに思っているところであります。

 福岡市の中央卸売市場への出荷額が59億円、これに対しまして、直売が30億円ということでありましたけれども、なぜ、これほど、直売額が伸びているのかお示しいただきたいと思います。

【太刀山水産振興課長】
 これは、先ほど、申し上げましたように、漁業者、それから消費者双方にメリットがあることに加えまして、特に本県の場合は、魚を水揚げする漁港、それから直売所、それからそれぞれの県民の方々の住宅地、それぞれが近い位置関係にあることが1つ挙げられるかと思います。

 また、500万県民という消費者の方がおられるという、直売に有利な条件が整っている、このことが理由として考えられます。


【原中委員】
 本県水産業にとりましては、今お話もありましたように、500万県民という多くの消費者がおられて、特に福岡市、そして福岡都市圏では200万人という人口を抱えておりまして、一大消費地が背景にあるということだというふうに思います。その点が、本県の水産業の優位性となって特に直売が伸びているということだと思います。

 それでは、漁業者は市場への出荷や直売といった、出荷先、これをどのように選択して判断をされているのかお示しいただきたいと思います。

【太刀山水産振興課長】
 大量に漁獲されます、例えばブリもしくはマダイのような魚種でありますと、ほとんどを卸売市場に出荷いたします。

 また少量で、荷揃えが出来ない魚種については、主に直売向けに仕向けるといった工夫をしているところでございます。


【原中委員】
 これは白書の中でもありますけれども、直売、今ずっとこの間やり取りをしました直売は伸びていても、やはり漁業経営は厳しいという現状も衆知しているところであります。

 漁業者の減少している中で、個々の所得を確保していくために、販売面のみならず、漁業に関わるコスト、これをどのように下げるかっていう工夫も必要だというふうに思います。本県ではどのような指導を漁業者に行っているのか。具体的な事例も含めて、お示しいただきたいと思います。

【太刀山水産振興課長】
 コストを下げる具体的な取組でございます。

 例えば、県内で最も大規模な漁業でございます「まき網」でございますけども、これまで船団毎に競争するように魚群の探索を行いますことから、油代、燃油費用などのコストが嵩みまして、経営が非常に悪化していたことがございます。

 このため、県としましては、「まき網」の漁業者の収支の状況を収集、もしくは分析することで、経営上の課題や問題点を整理いたしまして、その結果を基に、漁業者を指導して参りました。

 その結果、各「まき網」船団が運搬船、魚を市場まで運搬する船でございますけども、これを1隻休める取組み、さらには、魚群を探索する、もしくは漁港までの漁獲物の運搬を共同で実施するこれらの取組みをなされるようになりました。結果、約2割の燃油使用量の削減が実現したところでございます。

 県としましては、漁業者の漁業経営が大変厳しいなかでございますが、各漁業者の所得を高めていくために、引き続き、関係漁業者と協議を行いながら、このような指導に取り組んで参りたいと考えております。


【原中委員】
 本県の水産業、特に漁業者の経営について、今実態をお示しいただきました。漁業経営は、大変厳しいという状況にあるわけであります。

 ただいま答弁のあったように、販売先の選択、これによって収入を高める取組み、また、生産コストを低減させる取組みっていうのが行われて、その結果、漁業所得の向上につなげていく、このことが非常に大切であるということを今お示しいただいたわけであります。

 特に水産物は、消費者を引きつける魅力のある商材であるということは、確かなことであります。北九州、福岡の政令市を抱え、そして消費者たる500万県民を抱える本県ならではの、この水産業の有利性というのを活かした、直売の取組みであるとか、新鮮な水産物を目指して直売所や漁港、そうしたところに多くの買い物客、人たちが集まるということであろうというふうに思うわけであります。

 地域に人が集まるということになりますと、それは漁業の振興に併せまして、地域の活性化にもつながる、先ほど言いました道の駅である「四季の里」であるとか、そういったところに大変人が集まるという状況もあります。そうしたことが、大変非常に重要な取組みであるというふうに思うわけであります。

 これは、最後に部のほうに要望でありますけども、是非、このような取組みを地道に続けて頂くことを切に要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
A

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