1.視察月日
2017年4月19日(水)
4.『学習支援センター』の概要
(1)設置目的
在籍校で登校を続けることが困難な高校生(一部、中退者もあり)に対して学習の場を提供し、 学習の継続を支援することを目的とした学習教育施設です。
(2)センターの運営
センターは、「福岡県私学協会」と「社団法人福岡県私学教育振興会」が共同で設立しました。
運営費、すなわち財政については、県私学協会に加盟する県内の私立学校58校が、毎年200万円の助成金を供出し、加えて、福岡県から1,000万円の補助金が出されており、これらを合わせて運営費となっています。なお、生徒(保護者)の費用負担はありません。
「不登校のための居場所」という施設は全国にありますが、県私学協会に加盟する県内のすべての私立学校から助成金が出され、県からも補助金が出ているというのは福岡県だけです。
(3)『学習支援センター』設立経過
センターは、在籍校でこのまま学習を続けることが困難な生徒や中途退学したけれど改めて高校で学びたい人などに対して、学習の場を提供し、学業の継続や在籍校への復帰を支援することを目的に、2007年4月に開設されました。
開設当初は県内1ヶ所でスタートしましたが、2009年9月からは、県内の4地区に各1ヶ所それぞれ設置し運営が行われています。
名 称 | 住 所 | TEL | |
学習支援センター本部 | 福岡学習支援センターと併設 | 092-588-7000 | |
各 支 所 |
福岡学習支援センター | 福岡市博多区三筑2-7-8 | 092-588-7000 |
北九州学習支援センター | 北九州市小倉北区皿山町10-18 | 093-953-7025 | |
飯塚学習支援センター | 飯塚市吉原町6-1 | 0948-21-3000 | |
久留米学習支援センター | 久留米市天神町8番地 | 0942-34-3640 |
(4)受け入れ対象学生
夢と希望を胸に高校進学を果たし、学園生活を始めながらも、様々な悩みを抱えて学校へあるいは教室へ入ることが困難な高校生、いわゆる「不登校とならざるをえなかった高校生」を対象としています。
5.センターの機能
(1)入校者へのサポート
「不登校とならざるをえなかった高校生」を対象に、高校に在籍したままセンターで学習支援を受け、在学校への復帰をサポートしています。
そのため、センターでは、
- 進路相談、進路変更の相談
- 学習支援
- カウンセリング(学習面のサポートとともに生徒・保護者へのカウンセリング)
(2)教科
- センターでは、英・数・国・理・社の5教科の授業が行われ、それら専門の教員と、芸術・情報・体育の非常勤教員が配置されています。
- カウンセリングを行うための専門のカウンセラーが配置されています。
6.センター入所手続き
(1)入所案内
- 県内の高校、または後期中等教育課程(高校)に在籍している学生(一部、中退者含む)。
- 高校、または後期中等教育課程(高校)を中途退学した人で県内に居住する人。
(2)入所手続き
- 土、日・祝日を除く、随時受け付け。受け付け時間は9:00〜16:00。
- センター入所を希望される在学中の生徒・保護者は、在籍校を通じて申し込みます。
(3) 入所費用
- 入所申込金・受講料は無料となっています。但し、教材費等の実費については負担あり。
7.『福岡学習支援センター』
今回視察したのは、県内4カ所あるセンターのうち、福岡市博多区三筑の『福岡学習支援センター』でした。
(1)校舎
福岡市博多区三筑2-7-8
福岡国土建設専門学校敷地内
『福岡学習支援センター』は「福岡国土建設専門学校」の敷地内にあり、同専門学校の空校舎を借用して校舎としています。
- 〇 1階:本所、職員室、相談室、自習室、パソコン教室。
- 〇 2階:教室(3教室)、オープンルーム(フリースペース)となっています。
(2)職員体制
センター長1名、副センター長1名、指導教員(非常勤含む)10名、カウンセラー1名。
センターには、英・数・国・理・社の5教科の専任教員を配置し、その他の例えば情報、美術、音楽などの科目については各学校の非常勤教員の協力を得ながら授業が行われていますす。
また、臨床心理士の資格を持ったカウンセラーが週2日〜3日来校し、生徒のカウンセリングや保護者からの相談などに対応しています。
(3)センターの活動
在籍校から紹介された「不登校とならざるをえなかった高校生」を一定期間預かり、学習面のサポートとカウンセリングを行いながら元気を取り戻して在籍校への復帰が実現するように後押しをしています。かけがえのない高校生活を過ごすことができるよう、一人ひとりの学生をしっかりと、優しくサポートしています。
8.まとめ
高校に入学した学生(高校生、一部中退者)が、学校内に関係した悩みなどでどうしても登校できない。あるいは高校生活を順調に送っていたが、あることをきっかけにどうしても登校できなくなってしまった。明日は登校しようと決意しても朝になると体調が悪くなる。登校しても教室に入ることができない。
『学習支援センター』は、学校内に関係した悩みで「不登校にならざるをえなかった学生」をサポートする目的で設置されました。
今回視察したのは、県内ある4カ所のセンターのうち、博多区三筑にある『福岡学習支援センター』でした。
新学期始まってすぐということもあり、センターに来ている学生は居ませんでした。ある意味、センターに通う学生がいない、もしくは少ない方がいいのかもしれませんが、そういうわけにもいかず、何らかの理由で「不登校にならざるをえなかった学生」を受け入れ、学習できる環境を与え、サポートする施設は必要です。
『学習支援センター』は、まさに県内すべての高校の「サポート校」・「学校外教室」としての役割を担っている学習支援機関です。
県も一部補助金を支出していますが、センターの役割を考えれば、これまで以上に県としての支援が必要と感じました。