Ⅱ 視察報告

4.長崎県病院企業団「長崎県対馬病院」

(1) 対応者

長崎県対馬病院01.jpg 〇院長   川上 眞寿弘 氏
 〇事務部長 宇山 忠史  氏 

(2) 「長崎県対馬病院」の歴史

長崎県対馬病院02.jpg 対馬市には、2015年4月時点で、「長崎県病院企業団」が設置運営する病院として、「対馬いづはら病院」、「中対馬病院」、「上対馬病院」の3院がありました。

 これらのうち、「対馬いづはら病院」と「中対馬病院」を再編統合し、2015年5月17日、
対馬の基幹病院として「長崎県対馬病院」が誕生日しました。

 「長崎県対馬病院」のコンセプトは、「対馬に暮らす人々の康を守り、信頼と安心の医療を提供できる病院を目指す」としています。

(3)「長崎県対馬病院」の概要

①診療科
 診療科は、内科、循環器内科、消化器内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、精神神経科、放射線科、麻酔科、リハビリテーション科、総合腫瘍科、人工透析科、臨床検査科、救急科、神経内科、血管内科、脳神経外科、リウマチ科、泌尿器科、皮膚科の23科です。

②対馬市での使命と役割
 「長崎県対馬病院」は、対馬における基幹病院として、地域に密着した医療が提供されています。
 長崎県の離島で初めてとなる、放射線治療装置(リニアック)の導入により、島内でがんの放射線治療・疼痛緩和治療を行っています。
 また、無菌室の設置により、これまで対馬島内では受け入れることができなかった、血液疾患の患者の入院・治療を島内で受け入れることが可能となっています。
 島内で対応ができない、高度医療の提供を緊急に必要とする場合においては、ドクターヘリ・防災ヘリを要請し、患者を高度医療機関へ搬送する体制がとられています。
 更に、島内外の医療機関と連携し、患者へ質の高い医療を提供し、患者の治療の選択肢を減らさないなど、最新の医療機器や施設を整備し、患者に“安心”と“信頼”の医療を提供しています。

③建物
 建物は5階建て(5階:病室、4階:産婦人科病室、3階:透析室・手術室・HCU、2階:リハビリテーション・精神保健・健康診断・理容室、1階:受付・外来・検査・薬局・売店)で、病床数は275床となっています。

(4)「長崎県対馬病院」の地域活動

過疎化が進む対馬で、診療所各施設へ医師を派遣し診療が行われているほか、対馬市が実施している乳児健診へ、医師・理学療法士等が派遣されています。
 また、長崎県では、メディカルコントロールをしっかり行うため、2003年3月に「長崎県メディカルコントロール協議会」と県内7地域に「地域メディカルコントロール協議会」が設立されていますが、これ羅協議会の設置を受け、対馬市でも医師と消防の救急責任者及び県行政機関が参加し、対馬の救急医療の質向上のため、関係機関が相互に協議を深める場が設けられ、「長崎県対馬病院」も参加しています。

対馬市では、「対馬市内の救急医療を考える会」が設立されており、年に1回、対馬振興局の開催する「対馬救急医療研究会」に参加しており、対馬市医師会、対馬市消防本部、「長崎県上対馬病院」とともに、対馬における救急医療の現状の報告、検討などが行われています。

対馬市内にある各介護施設や対馬市等の各関係者と年2回、連携施設と合同で会議が開催されています。
 また、2013年度~14年度に「対馬いづはら病院」で開催していた、『ふれあいフェスタ』を「長崎対馬病院」でも開催されています。

過疎化が進む対馬で、医療職の人材を確保するのが年々困難になっていく中、対馬出身の医療従事者が増えることを願い、医療系の学校へ進学を考えている生徒への職場体験を受け入れています。

(5)まとめ

長崎県対馬病院03.jpg 対馬市の人口は、1990年度末には46,064人であったものが、2010年度末には41,230人、本年10月末現在では31,454人となっており、人口減少が続いています。若者の島外流出が続く半面、高齢化率(65歳以上)は34%に達しており、全国平均を大きく上回っています。
 今後もこの傾向は続くと予想されており、人口減少、高齢化は対馬市にとって大きな課題となっています。そして、こうした課題に比例してくるのが、医療・介護・福祉の保障という課題です。
 元来、離島という地理的要因から、高度先進医療、救急医療体制の整備は対馬市にとっても大きな課題でした。
 今回視察した「長崎県対馬病院」は、こうした島内事情の克服という面からも、そしてなにより、島内の患者にとって医療保障とともに、“安心”と“信頼”を与える医療機関となっています。
 福岡県内には、現在、8つの有人離島がありますが、離島医療は本県にとっても重要な政策課題と言えます。
 今回の「長崎県対馬病院」の視察を活かし、本県における離島医療の在り方を考えていきたいと思います。