Ⅲ 管内視察報告

2.糸島市健康センター「ふれあい」

(1) 「ふれあい」の概要

 「ふれあい」は、高齢者や体の不自由な方などをお世話する福祉機能や、生涯を通した健康づくりの拠点としての保健機能をもった施設です。児童から高齢者、障害をもった方々などみなさんの交流の場として利用できるセンターになってい

(2) 「ふれあい」の主な業務

① 健康づくりに関する取り組み
 健康診査や予防接種、各種健康講座、健康相談などが行われています。
② 身体障害児療育事業・知的障害児療育事業
 発達に心配がある、または身体障害があるお子さんを対象に、作業療法士・理学療法士・臨床心理士による個別訓練、育児や療育の方向性に関する相談を行っています。(要予約)
③ お部屋の貸し出し
 福祉関係・社会教育関係団体の会合や、ボランティア活動、地域の交流会、サークル活動などに貸し出しています。

(3)「九州大学ヘルスケアシステムLABO糸島(ふれあいラボ)」

① 糸島市、九州大学、住友理工の3者は、「健康」、「医療」、「介護」に関する地域福祉の向上、研究教育活動の推進、技術開発による新産業の創出を目的とし、協定を締結、各種事業を展開しています。糸島市健康センター「ふれあい」に「九州大学ヘルスケアシステムLABO糸島(ふれあいラボ)を常設し、健康に関する機器の展示・体験(歩行アシストスーツ、床ずれ防止マットなど)を行っています。

② 三者協定について【要 旨】
三者協定.jpg 糸島市、国立大学法人九州大学、住友理工株式会社は、地域包括ケアシステムをはじめとする「健 康」「医療」「介護」に関する地域福祉の向上、研究教育活動の推進、技術開発による新産業の創出 などを目的として、3者間による協定を締結しています。
 超高齢社会となった日本において、産官学の協働により、高齢者が地域で生き生きと暮らせるまちづくりを目指しています。

※ 地域包括ケアシステム…可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることが できるように構築された地域の包括的な支援・サービス提供体制

③ 経 緯
 今回の連携は、九州大学(大学院工学研究院 山本教授)と住友理工の共同研究がきっかけです。両者はこれまで、歩行アシストスーツや床ずれ防止マットレスの開発で、高齢者の介護予防などを 目的とした共同研究を進めており、実証実験にあたり、糸島市がフィールドの提供や被験者の紹介 などで協力してきました。 産官学の3者の持てる資源を生かしながら、地域の社会課題の解決という同じ目標に向かって連携を深めるため、本協定を結ぶものです。

④ 協定による連携内容

  • 1)地域包括ケアに関する研究の実証及び事業化に関すること。
  • 2)地域包括ケア連携ネットワークの構築に関すること。
  • 3)施設、情報、人材などの資源の相互利用に関すること。
  • 4)情報発信および共有化に関すること。
  • 5)教育普及啓発に関すること。
  • 6)産学官連携による持続可能な地域福祉社会づくりに関すること。

(4)「九州大学ヘルスケアシステムLABO糸島(ふれあいラボ)」の概要

                          (同ラボホームページより引用)
 「ふれあいラボ」は、2015年12月15日に締結された「糸島市」・「九州大学」・「住友理工(株)」による『「健康」「医療」「介護」事業連携協定』に基づき、福祉ロボットの実証研究開発と糸島地域の地域包括ケアシステム構築を担う施設として開設された九州大学のオープンラボです。
 この施設では、歩行アシスト装置等の福祉ロボットに関するの実証実験をおこなうだけでなく、市民にも解放されたラボになっています。
 具体的には「バランス測定」、「歩行診断」、「褥瘡防止ベッド」、「介護ロボット」などを利用可能・展示しており,医療福祉と健康維持・増進に関係する機器の体験や,訪問者の日常生活健康状況が自ら確認できる施設となっています。
 この施設の活動を通じて、研究開発の地域社会へ還元し、糸島の豊かな社会づくりに貢献するとされています。

① 歩行アシストスーツ
歩行アシストスーツ.jpg 足腰の運動機能が低下した高齢者の健康維持のために、歩行を支援する機器として開発中です。着用者が歩く意思をセンサで検知して、足を上にあげる力を補助します。柔軟な構造で、衣服の下に装着し、日常生活で気軽に使える製品を目
指しています。






② 床ずれ防止マットレス
床ずれ防止マットレス.jpg 九州大学医学部・古江増隆教授との共同研究から生まれた本製品は、住友理工独自開発の圧力センサー「スマートラバー (SR)センサ」を応用した新製品です。 SRセンサが体圧分布を計測し、感知した圧力の高低に応 じて内部のエアセルの膨張・収縮を制御、寝ている人の体の形状に合わせてマットレスの凹凸形状が変化します。局所的な圧力集中を緩和し、自動で体圧を分散することで床ずれ防止に役立ちます。

③ 体圧検知センサー「SR ソフトビジョン」
体圧検知センサー.jpg スマートラバー(SR)センサの技術を使った、体圧分布やバランスが表示できる体圧分布測定機器です。クッション、マ ットレスの選定、リハビリ支援など医療や介護のさまざまなシーンで活用されています。






④ SR ソフトビジョン足圧版
SR ソフトビジョン足圧版.jpg SR ソフトビジョンを応用した足にかかる圧力や、体の重心を 検知することができる測定機です。測定機の上で体を前後左右に傾けたり、足踏みをしたりすることで使用者のバランス能力や動作安定性、歩行レベルなどを表示することができ、 リハビリや日々の健康管理に活用できます。


⑤ 胸骨圧迫訓練システム(しんのすけくん)
胸骨圧迫訓練システム.jpg SR センサの技術を用いた胸骨圧迫(心臓マッサージ)訓練評価システムです。日本蘇生協議会(JRC)ガイドラインに準拠し、胸骨圧迫の質を項目ごとに評価・点数化できるため、 救命講習などの訓練効果を高めます。