県議会質問

2015年11月6日 知事保留質疑

特定外来生物ツマアカスズメバチ対策について

 本県の「特定外来生物」対策について、知事に質問致します。

 本年8月28日、北九州市門司区の下水処理施設の敷地内でスズメバチの巣が発見され、9月10日、「ツマアカスズメバチ」の種であると確認されました。

 「ツマアカスズメバチ」は、生態系、人、農林業への影響が懸念されることから、本年3月、環境省が「特定外来生物」に指定し、その駆除に乗り出したところでした。

 「ツマアカスズメバチ」については、長崎県対馬市で2012年に侵入が確認され、わずか2年半でほぼ全島に生息域が拡大しており、その繁殖力のすさまじさには大変驚かされるところです。

 特に、対馬市では、すでにミツバチの個体数は3分の1に減少、ハチミツ収穫量は最盛時の5文の1にまで激減するなど、養蜂業への影響が出ています。また、ミツバチの減少による農作物への影響についても、大変心配されているところです。

1.そこで、知事にお尋ねします。
 知事は、環境省が「特定外来生物」に指定した「ツマアカスズメバチ」について、生態系への影響も含め、その脅威についてどのようなご認識をお持ちなのか、お聞きします。 

【知事答弁】

  • ツマアカスズメバチは、非常に繁殖力が強いという特徴を持ち、生息域が広がるスピードが速く、急速に個体数が増加することから、生態系などに大きな脅威を与えるおそれがあるため、国としても特定外来生物に指定したものと考えている。
  • 生態系への影響としては、在来のスズメバチや捕食される昆虫が減少すること、また、在来のスズメバチと同様に人が刺されて負傷すること、さらに、農林業への影響としては、ミツバチが捕食されることにより、養蜂業やミツバチが受粉を行っている園芸農業への被害が懸念される。

 先ほども述べましたとおり、「ツマアカスズメバチ」の影響、被害としては、人への刺傷被害のほかにも、養蜂業や果樹などの園芸農業への影響も非常に心配されているところです。

2.そこで、知事にお尋ねします。
 生態系だけでなく、特に、養蜂業や園芸農業への影響も懸念されることから、「ツマアカスズメバチ」の問題については、環境部や農林水産部などの関係する部が連携して取り組んでいく必要があると考えますが、しっかりと全庁的な連携は図られているのでしょうか、お聞きいたします。

【知事答弁】

  • ツマアカスズメバチについては、先ほど申し上げたように様々な影響が懸念される。このため、関係する部が連携して、その対策に取り組んでいく必要がある。
  • 本年9月、県内では初めて、北九州市門司区内で生息が確認された後、環境部が初期防除に取り組む国との窓口になるとともに、港湾を管理する県土整備部、農林業を所管する農林水産部、県民の皆さんから問い合わせを受ける保健福祉環境事務所などの関係部署との間で庁内の連絡体制を整備し、ツマアカスズメバチの生態や生息などの情報を共有したところである。
  • 特に、養蜂業や園芸農業などの農林業への影響が懸念されるため、環境部と農林水産部の関係課や出先機関で構成する「対策会議」を立ち上げ、連携して対応を進めている。

 今回、本県内で「ツマアカスズメバチ」の生息が確認されたのは北九州市門司区でありましたが、確認場所の地理的な状況を見ますと、関門海峡をはさんだ、目の前は山口県下関市です。

 執行部からの説明では、「特定外来生物」の侵入段階での調査・防除は、国が行うということであり、現在、環境省では、北九州市内と下関市内において、「ツマアカスズメバチ」の生息確認調査が行われているということです。

 「ツマアカスズメバチ」の生息域の拡大スピードを考えますと、本県が国と連携して「ツマアカスズメバチ」対策に取り組んでいくのはもちろんのこと、山口県、さらには長崎県、佐賀県、大分県といった近隣県との連絡や連携した取り組みも必要と考えます。

3.そこで、知事にお尋ねします。
 本県として、国や近隣県とは、どのように連絡・連携を図られていくのか、お考えをお示しください。

【知事答弁】

  • ツマアカスズメバチの繁殖力の強さや生息域拡大の速さを考えると、国はもちろんのこと、山口県、佐賀県、長崎県などの近隣の県とも緊密な連携を図りながら取り組みを進めることが必要である。
  • このため、北九州市での生息確認後、直ちに本県から働きかけを行い、国や近隣県で構成する「連携会議」が11月12日に開催されることとなっている。この会議で更なる情報の共有を行い、相互に連携して取り組んでいく。

 私は、10月19・20日の両日、対馬市を視察してきました。実際、現場で「ツマアカスズメバチ」の生態を見てきたのですが、その繁殖力はすさまじいものがありました。

 対馬市の職員の方からは、「ツマアカスズメバチ」の定着を防ぐためには、最初に生息が確認されてから1年間、まさに初動の時期の対応がとても大切だとの助言を受けたところです。

 本県では、本年8月に北九州市門司区で「ツマアカスズメバチ」の巣が発見されました。生息が確認された以上、「ツマアカスズメバチ」駆除にとって、来年の秋口までのこの1年間の対応、対策がたいへん重要です。

 中でも、来年3月から4月の時期、「ツマアカスズメバチ」の女王蜂が越冬から目覚め、活動を始める時期、女王蜂を捕獲するためのトラップを仕掛けるなどの対策を実施することが一番重要だと考えております。

 また、女王蜂の捕獲対策については、環境省において検討されていると聞いていますが、年度末の3月から、年度当初の4月にかけて取り組みを実施するためには、補正予算の問題や繰り越しの問題など、環境省においても予算執行上の課題もあります。予算上の懸念もありますので、環境省には、来年の春先の女王蜂対策は確実に実施して頂く必要があります。

4.そこで、知事にお尋ねいたします。
 来年の春先の女王蜂対策を確実に行うことも含め、今後、「ツマアカスズメバチ」が定着することがないよう、本県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお示しください。

【知事答弁】

  • ツマアカスズメバチの定着を防ぐためには、初動、早期発見、早期駆除が極めて大事である。
  • 現在のところ、生息が確認されたのは北九州市内の1例のみであり、確認された巣の撤去後、新たな固体や巣は発見されていない。しかし、女王バチが越冬して来年の春先に一斉に巣作りを始める可能性もあるため、その時期に捕獲のためのトラップを設置し、早期発見を行い、女王バチやその巣を確実に駆除していくことが重要である。
  • この捕獲トラップの設置については、国が専門家の意見を聴いた上で、必要な設置数や箇所など具体的方法について検討することとなっている。今後、「連携会議」などを通じて、国に対して確実に実効性のある防除対策をとるよう強く要請するとともに、近隣県とも協力して取り組んでいく。また、併せて、県民や事業者への必要な情報の提供を行っていく。
  • 今後とも、国や近隣県とも連携を図り、初動、早期発見、早期駆除に取り組み、ツマアカスズメバチの生息が広がり、定着することがないよう努めていく。

 「ツマアカスズメバチ」対策について、知事のご答弁を頂いたわけですが、最後に知事に2点、要望致します。

 対馬市の職員の方々とお会いした際、「ツマアカスズメバチ」の飛翔能力、繁殖力を考えた場合、宗像市の沖ノ島、大島などの島嶼(とうしょ)部。さらには、筑前海沿岸の福岡市、新宮町、古賀市、福津市、宗像市、岡垣町、遠賀町、芦屋町の各自治体に対し、特に海岸部の樹木などで、目視点検が必要と説いておられました。

 そこで、こうした島しょ部、筑前海沿岸の自治体に対して「ツマアカスズメバチ」の営巣の目視による点検を進めていただくよう、県からの働きかけをお願い致します。

 また、何度も繰り返しになりますが、「ツマアカスズメバチ」の勢力拡大、生息域の拡大を防ぎ、駆除するためには、まずもって初動が大切です。

 そのことを強くご認識いただいた上で、知事として、予算の措置も含め、しっかりとこの「ツマアカスズメバチ」対策に取り組んで頂きますよう要望いたしまして、質問を終わります。

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