県議会質問

2017年12月13日

民泊新法並びに関係政省令を受けての
本県の民泊に対する対応について

 次に、民泊の区域や営業日数を制限する条例の制定についてお聞きします。
 『民泊新法』では、周辺住環境への配慮から、自治体が条例で民泊ができる区域を定めることができ、しかも、民泊の営業日数を制限することができるとなっています。

 全国的にみると、例えば、北海道は本年10月30日、一般住宅に旅行者を有料で宿泊させる民泊に関する「有識者会議」を開き、民泊の営業ルールを独自に定める条例案をまとめています。

 これによると、年間営業日数を住居専用地域では平日以外の約60日以内、小中学校周辺は約110日以内に制限するとしており、来年の道議会に条例案を提出し、制定を目指すとしています。

 また、東京都内では、大田区では「住居専用地域などでの全面禁止をめざす条例案」、新宿区では「住居専用地域では毎週月曜から木曜の営業を禁止する条例案」、世田谷区では「有識者会議を6月に設けて対応協議中」、千代田区では「有識者会議を6月に設け、規制強化の方向で検討中」、目黒区では「7月に検討会を設置」しており、八王子市では「10月に検討会を設置」、が予定されるなど、住宅専用地域では民泊を認めない自治体もでています。

6.そこで知事にお聞きします。
 区域指定や民泊の年間提供日数を制限する条例について、本県としてどのような観点から検討していかれるのか、お答えください。

【小川知事答弁】

  • 住宅宿泊事業法において、住宅における宿泊提供日数は年間180日を上限とされている。
    • そして、「生活環境の悪化を防止するため特に必要があるときに、合理的に必要と認められる限度において、条例で定めるところにより区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる」と規定されている。
  • 条例制定に関しては、民泊事業の適正な運営を確保しつつ、観光客の宿泊の需要に的確に対応するという法律の立法趣旨を踏まえたうえで、国が今後示すガイドラインの内容や他の都道府県の動向も勘案しながら、制定の必要性を含め、見極めてまいる。

 次に、「マンション管理規約」について伺います。
 『民泊新法』が来年6月に施行されることを踏まえ、国土交通省は「マンション標準管理規約」の改正を行っています。

 これによると、国交省は民泊を巡るトラブルの防止を目的に、マンションで民泊を認めるか否かについて、あらかじめマンション管理組合が管理規約上で明確化する必要があるとしています。

 福岡市内だけでも、賃貸・分譲を含め、マンションの棟数は2万棟あるとされています。全県下となると、この数倍の数になると思います。これらのマンションにおいて、全ての管理組合が民泊を認めるか否かという管理規約を改訂したかどうか、確認することは至難の業です。

7.そこで知事にお聞きします。
 県内のマンション管理者、管理組合に対し、管理規約の改正が的確かつ遺漏ないように実施されるため、県としてどのように周知を図るのか、お聞かせください。

【小川知事答弁】

  • 住宅宿泊事業に関する標準管理規約の改正については、管理組合向けに毎年作成・配布している「マンション管理の手引き」に掲載するとともに、福岡市と連携し、規約改正や住宅宿泊事業に関するトラブル事例とその対処法について、今月10日にセミナーを開催するなど、周知を図っているところである。
  • 県としては、このような取組みを通して、引き続き、改正された「マンション標準管理規約」の周知を図ってまいる。

 次に、民泊事業者の監視指導について、警察本部長にお聞きします。
 先ほども述べましたが、厚労省の調査でも明らかなように、都市部では合法民泊はわずか1・8%でしかありません。

 また、民間の民泊会社「Recreator(レクレーター)合同会社」は本年1月23日、日本国内のアクティブ民泊物件数が2016年11月に過去最高の4万件を突破したと発表していますが、民泊専門メディア「Airstair(エアースター)」の民泊合法化率に関する調査では、本年1月22日時点で、民泊の合法化率はわずか0.2%という調査結果を公表しています。信じられないくらい、低い数値であります。

 なお、同社は、この4万件の民泊施設が、『民泊新法』施行後、すべて合法化に移行するかどうかは不透明」と指摘しています。

 『民泊新法』により、「住宅宿泊事業者」も、「住宅宿泊管理業者」も、「住宅宿泊仲介事業者」も、民泊事業に参入しやすくなりました。いわば、民泊参入へのハードルが下げられたわけです。

 したがって、各事業者については法に決められたことをしっかりやってもらう。違法民泊は絶対に許さないということが求められますし、監督庁となる自治体はしっかりと監視指導を強化することが必要となります。

8.そこで、警察本部長にお聞きします。
 来年6月からの民泊の本格施行後、県内の民泊事業者が適切かつ遵法的に業を営むことが望まれますが、これら民泊の監視指導について、県警察として、行政側とどのように連携を図られるのかお聞きするとともに、行政指導に従わないなどの違法事業者の取締りについて、どのような決意をもって対策を進められるのか、お答えください。

【警察本部長答弁】

  • 民泊に係る無許可営業等については、近隣住民とのトラブルはもとより、他の犯罪の舞台となるなど、治安対策上も看過できない問題点があるものと認識している。
  • 県警察としては、県担当課や保健所を設置している福岡市など4市と緊密に連携し、これらの自治体が把握した無許可営業等の情報や、騒音苦情など警察活動で把握した情報の共有化を図るとともに、自治体の繰り返しの指導に従わない場合や、暴力団が関与したり、他の犯罪の舞台となるなどの悪質な事案は検挙に努めてまいる。


 知事に以下2点、要望致します。

 現在、福岡市内では、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆の時期、大きなコンサートや各種学会、入学試験時期などには、市内でホテルを確保するのが極めて難しい状況にあり、週末にはシングルユースを中心にホテル不足が慢性化しています。したがって、今後、民泊への期待が大きく膨らむのは自明の理であります。

 しかしながら、これは観光庁の統計資料ですが、県内の主要な温泉地、原鶴温泉や筑後川温泉、二日市温泉、脇田温泉、薬王寺温泉などの旅館の稼働率を見ますと、いずれも30%ほどしかありません。

 福岡市が本年3月に公表した「2015年福岡市観光統計」によると、福岡市内のホテルの稼働率はいずれも80%を超えており、県内旅館の稼働率とは大変な開きがあります。

 『民泊新法』の施行に伴い、民泊業への参入事業者の増加が予想されますが、今後、県内旅館の稼働率の向上、さらには温泉地をはじめとする周辺の観光振興のためには、本県を訪れる観光客、宿泊者が県内の温泉地、旅館を利用して頂くよう、しっかりと対策を講じるよう要望申し上げます。

 二つ目は、来年3月から民泊事業者の登録が開始されますが、福岡市内だけでも数千件の登録が寄せられると推測されています。これら登録事業者の監視指導は保健所が行うわけですが、行政職員だけで監視指導を行うことは物理的に難しく、また安全面からも配慮が求められます。

 そこで、民泊の監督庁となる自治体の保健所に対し、「民泊指導チーム」の設置を求め、そこに警察官のOBを再任用し、配置するということが必要だと思います。

 県として、法施行以降、事業の運営状況を把握しながら、是非、検討を始めて頂きますよう要望申し上げ、私の一般質問を終わります。

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